2006/11/04 山形新聞朝刊より


漆の美展林野庁長官賞に水上東北芸術工科大助教授


水上修東北芸術工科大助教授
 日本漆工協会主催の「第14回漆の美展」で、水上修東北芸術工科大助教授(50)=山形市青田=の作品・卵殻螺鈿飾箱(らんかくらでんかざりばこ)「涼」が林野庁長官賞に決まった。表彰式は8日、東京都の明治記念館で行われる。

 同展には、漆工芸作家による美術品のほか、工業製品、漆工技術を習う愛好家の作品など、漆に携わる人々から幅広く出品される。林野庁長官賞は、最高賞の農林水産大臣賞、文部科学大臣賞に次ぐ賞。応募作品120点の中から選ばれた。

 水上助教授は蒔絵(まきえ)や螺鈿、金属板を使う「平文(ひょうもん)」など、さまざまな技法や素材を用いて、四季折々の自然をテーマに、現代における漆芸表現を研究している。同展にはほぼ毎年出品しており、2003年に日本漆工協会長賞を受賞した。

林野庁長官賞に決まった卵殻螺鈿飾箱「涼」
 卵殻螺鈿飾箱「涼」は、山からわき水がしたたり落ちるようなイメージで、約4カ月かけて制作した。木地はヒノキで、サイズは縦11.7センチ、横27.7センチ、高さ14.9センチ。純白のウズラの卵殻を1ミリ大に砕いて張り付けたほか、緩いS字カーブに沿って、切断した白蝶貝の下に銀箔(ぎんぱく)を重ねて張り、白い線の模様を表現した。

 水上助教授は「さらに仕事に磨きをかけ、学生に漆芸の基礎を身に付けてもらうよう、指導に励みたい」と話している。