河北北町円筒分水工(第11号分水)


2022/08/11(木山)

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『円筒(円形)分水工』という農業用水設備は、もはや過去のもので、新作は存在しないものだと思っていました。 弊サイトで山形県内の円筒分水工を取材した一番最後は2016年で、全国の円筒分水の掲示板や発見サイトのブームもそのあたりまでで、そこからの6年くらいは、まったくノータッチでした。 2022年8月、たまたま開いた、分水工の掲示板が閲覧不可能になってしまっていて、代替を探していて『円筒分水ドットコム』というサイトを発見し、山形県の分水工を見たら、河北町に今まで見たことのないのが書かれていました。 そしたら、令和2年の完成という、まだ2年前に設備されたホヤホヤの新しい円筒分水工で、GoogleMapにもその存在は記載されていませんでした。
国道287号線、道の駅河北の西、ひなの湯方面に北上し、ヨークベニマル河北店の南に、それはありました。 大きな工事記念の石碑があり、その北側が蓮沼になっていて、花がきれいに咲いていました。 円筒分水工の北側に案内板が設置されて、いろいろ書いてあったのをOCRでテキストに落としましたので、引用掲載してみます。以下、引用 @目的
本施設は、平成29年度県営谷地堰地区基幹水利施設ストックマネジメント事業により整備された施設であり、谷地東地区内の農地約98haに農業用用水を供給するために造設しました。
A実施事業
 事業名:県営谷地堰地区 基幹水利施設ストックマネジメント事業
補助率:国50% 県25% 町10% 地元15% 事業賃:7億5,600万円 工事工期:平成24年度〜令和2年度
谷地堰サイフォンは造成から30年以上が経過し、延長L=2,960m ある管水路内の表面摩耗や管の亀裂また、埋設管のたわみによる継手部のひらきが発生していました。更には、継手の隙間から漏水等も見られました。経年劣化による影響です。 このままでは営農に支障を来たしてしまう恐れがあります。そうならないように農業用水の安定確保・農家経営の維持を図っていくために整備を実施したのです。 B円筒分水工について
 円筒分水工が完成するまでは水門ゲートによる配水操作をしていました。それでは水管理が困難であり、配水調整するものの末端施設でもあるため水が安定せず、維持管理に苦労をしていました。
その維持管理をするためこ円筒分水を造成したのです。常に分水工全体から同量の水を吐出すことができ、また、円周の按分比率で配水をすることで3方向に計画的に配水が可能となります。 寒河江川土地改良区の概要
 寒河江市は山形県のほぼ中央に位置し、空路を利用すれば東京から1時間、陸路でも仙台から高速パスで1時間と、高速交通網にも恵まれています。
 当改良区の管轄地区は、山形県の母なる川「最上川」と万年雪のある月山日連峰を水源とする「寒河江川」が合流する扇状地にあります。本地区では、寒河江川より昭和堰頭首工と高松堰頭首工で取水、また最上川より新堰頭首工と中郷揚水機で取水し管理を行っています。 寒河江川土地改良区は、平成14年2月に、西村山郡大堰土地改良区と寒河江川土地改良区が合併して設立しました。
※受益面稚3,421ha・組合員数は約5,000人です。※うち、昭和堰頭首工は寒河江市821ha・村山市6ha・河北町,700haの合計2,527haの受益地へ水を供給。
国営寒河江川下流農業水利事業の概要
1.事業の目的
 本地区は、山形県の中央部に位置し、寒河江川下流部の両岸に展開する寒河江市外1市2町にまたがる水田2.956haと果樹園465の農業地帯です。
地区内の高松堰頭首工、昭和堰頭首工及び幹線用水路は、昭和10年から20年にかけて造成され、年数の経過等から老築化が進み維持菅理に多大な労力と経費を要しています。  また、かんがい用水をため池に依存している地域では、ため池の供給能力の副に耕地面積が広く用水不足となっており、果樹園ではかんがい施設が未整備なため、農業の生産性向上が阻害されています。  このため、本事業により頭首工及び幹線用水路の改修を行うほか、揚水機場及び用水路の新設により用水系統を再編し、関連事業により末端用水施設の整備を行う事によって、維持管理の軽減及び用水不足を解消し農業の生産性向上と農業経営の安定を図り、併せて地区内の農業用水施設が有する地域用水機能の増進に資するものです。
2.環境に配慮した纏設
 最近は、農業用の施設を整備するにも、農村のもつ豊かな自然や美しい景観、生態系に配慮し、農業生産と調和した快適で美しい農業環境を創造することが望まれています。
 こうしたことから、この地区の頭首工、用水路も歴史、景観、親水あるいは生態系の保全に配慮した自然・歴史・文化などの地域の特性と調和した施設になるように考えています。