平成13年インター杯予選山形県大会

5月26日(日)晴れ 会場 鶴岡工業グランド 15:00キックオフ

県大会1回戦 山形東 2 (1−1、1−0) 1 新庄農業

 この日から山形東高サッカー部の新たな伝統が刻まれる。様々な思いを抱えピッチへ向かう。しかし思いはただ一つ・『インターハイの切符を手にすること』
 「燃えろ〜に・い・ぜ・き!!」 上月康弘(3年)を中心とする応援隊も絶好調。その新関広樹(3年)が前半13分遠藤豊明(3年)のセンタリングを豪快なジャンプヘッドでゴールを奪い先制。その後シュートを再三放つものの決定力不足を露呈し試合は均衡状態。前半30分、ゴール正面でFKを与え、嫌なムード。しかも、スイーパー高橋修一(2年)がしかけるオフサイドトラップも、キック前に壁が動いたとしてFKのやり直しの連続。以前GK坂野修次(3年)はこんなことをつぶやいていた。「圧倒的に押している相手に点を取られるとしたらオフサイドトラップをミスった時なんだよなあ・・・・」。
 相手の蹴ったFKはスーっとGK坂野の頭上を越え、山東ゴールへと吸い込まれた。そしてそのまま前半は終了する。
 ハーフタイム、監督からの指示を受けた山東イレブンは、後半13分、中野正康(2年)が果敢にシュート、普段から外しまくっている急造FWのシュートだけに、誰もがゴールに入るはずなどないと思っていたが、意外にも相手GKのミスでゴール、遂に均衡を破った。このゴールで応援隊も最高潮に達し、スポーツ刈りをして試合に臨んだ高橋寛郎(3年)・阿部正紀(3年)・中野(2年)の応援歌「一番上はひろおっ、一番下はまさやすっ、間に挟まれまさのりっ、坊主三兄弟」と『だんご三兄弟』ならぬ『坊主三兄弟』を熱唱(絶叫)し、会場は大爆笑の渦に包まれた。
 試合も残り5分。これまで応援隊で活躍していたスーパーサブ上月(3年)が投入され、監督の指示通り相手コーナー付近でボールをキープ、試合終了のホイッスルを聞いた。2対1という結果に部員は不満足ではあったが、明日の米沢工業戦に向けて気持ちを切り替えグランドを後にした。

(戦評;主将・尾形隆紀)

5月27日(日)晴れ 会場 鶴岡工業グランド 13:30キックオフ

県大会2回戦 山形東 0 (0−0、0−0、0−0、0−0) 0 米沢工業

                      4 PK 5

 立ち上がりから山形東のペースで試合は進み、幾度かビッグチャンスが訪れるが、得点には至らず0対0のまま前半は終了する。
 ハーフタイム、全員が再度集中することを確認し、ピッチに向かった。
 一進一退の攻防が続く中、遂にその瞬間はやってきた。今まで何度となく山東のピンチを救ってきたGK坂野修次(3年)の身に突然赤い悪魔が舞い降りた。浅いディフェンスラインを破って突進してきた相手FWと交差するような形の中、ジャンピングボレーでクリアした坂野の足が相手の体に触れてしまったのだ。主審の手は胸ポケットに伸び、見慣れないカードを手に取った。グランドにいる誰もが目を疑った。本部席からもどよめきが・・・。レッドカードを受けた坂野は退場を宣告され、無念の涙を流しながら、グランドを出ていった。ここから山東は一人少ない中での戦いを強いられ、クリアするのが精一杯の状況となった。しかし、逆境に強い山東イレブンは力をふりしぼり闘った。後半22分、村形勘樹(3年)の蹴ったCKのボールは、ゴール前になだれ込んだ高橋寛郎(3年)の頭にドンピシャのタイミングで当たり、ゴールマウスへ向かってボールは飛んでいった。しかし次の瞬間、「カーン」という乾いた音とともにバーに阻まれ、得点には至らなかった。この後も両者ともにゴールを割ることができず、延長戦に突入した。消耗戦となった延長でも両者互いに譲らず、試合はPK戦へともつれ込んだ。
 先行は山形東。一人目のキッカーはPKにだけは絶対の自信を誇る主将・尾形隆紀(3年)。しかし、ゴール右に外し、まさかの失敗。米工三人目のキッカーを坂野の代役として出場したGK阿波慎一(2年)が止めたかに見えたが、転々と転がったボールはゴールラインを割り、ゴールを阻止することはできなかった。一本目を外した山形東に対し、五人全員が決めた米沢工業が勝利をおさめ、3年生の夏は終わった。
 ここ4年間、山形東はインターハイ予選においていずれもPK戦で敗れている。メンタル面を鍛えるとともに、基本技術を徹底的にマスターし、インターハイ出場を実現させてほしいと思う。

(戦評;副主将・村形勘樹)