2001/04/08
『白兵』北上秋彦 講談社 2001/02
平成9年発売の『種の終焉』を読んでいまして、面白かった記憶がありまして読んでみました。
日露戦争物語はとにかく旅順の戦いで兵隊が死にすぎてなんかすっきりしないのですが、やはり今回も同じでした。乃木大将と伊地知を筆頭とする参謀たちの無能のせいで万という兵隊が死んだという歴史事実は、まったくその後の日本陸軍の行方を象徴していると改めて感じました。日露戦争に負けていればかなり現在とはちがった国家が存在していたことなのでしょう。
八甲田雪中行軍の謎と、その謎を引きずったまま日露戦争へ突入していく一士官が主人公になり、戦争の中で八甲田の生き残り者から情報を収集し謎にせまっていく物語です。とくに日本の最大の危機といわれた「黒溝台の会戦」はリアルに描かれています。
筆者ホームページより
『これまでのぼくの作品とはかなり毛色が違います。史実はいっさい曲げていませんので、どちらかといえばノンフェクションに近い内容ですが、エンタテインメントの要素はできる限り失わないようにしたつもりです。』
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