2000/12/17
『牙をむく都会』逢坂 剛 中央出版社 2000/12/10
青空はあるんだけど月山とか朝日の方は雲がかかっている。白鷹山に登ろうか考えるが昨日までの雨で地面ぐちゃぐちゃと思い寝っころがって読書日にしました。
フリーの企画会社の主人公が広告代理店からハリウッド映画祭のPR企画の誘いを受け、同時期にある新聞社からスペイン内戦のシンポジウムの運営企画の仕事を請け負います。
広告代理店の名誉顧問として瀬島龍三氏をモデルにした人物が登場します。(瀬島龍三氏自体も出てきますが)
シベリア抑留とスペイン内戦の2本立ての歴史的話題で話は進められ、どっちが主題なのか半分読んだあたりまでは判りません。
逢坂氏の小説はなんといっても登場人物の会話のあやがおもしろいです。
昔の作品にも同様の会話調の作品があったのが思い出されました。
「なにをやってらっしゃるんですか」
「なにをやっていないか聞いてください」
「りっぱな研究所の所長さんですか。」
りっぱな研究所の所長ではないわたしは・・・・・
ETC
主人公は戦後史の謎に巻込まれてゆき、最後には逢坂流のどんでんがえしが待っています。
逢坂氏の作品はスペインやフラメンコギター中心のものと百舌シリーズのようなサスペンスものの二通りあります。後者と思ってましたが前者に属する作品でした。
この方の小説は安心して買って読めます。さらに、けっこう頻繁に書いてらっしゃるのにもかかわらず、すべて高品質で大変結構なことであります。
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