2001/01/21

北京原人の日鯨統一郎 講談社 \1500  2001/01/16

 スッカラカンのカメラマンと女性雑誌記者が主人公です。まず最初に軍服を着た老人が銀座で空中から落下し、主人公のカメラマンが目撃するところから物語は開始されます。
 知らなかったのですが北京原人の化石は行方不明になっているのだそうですね。その化石と100歳に近い元軍人たち、落下事件を追いかける刑事たちが主人公に絡み合います。
当然行方不明の北京原人を追いかけるのがメインテーマになるわけですが、そのテーマの影に隠されたもっと重要な歴史的なキーがもうひとつのテーマになっています。下山事件の下山総裁も登場します。
 はて北京原人はどこに!!
 作家の生年月日分らないのですが多分お若いのかなと思います。今までの同類の作家にくらべシリアスさがちょっと足りずその分軽いかなという感じはしました。なにはともあれこういう歴史の謎を書く作家が増えることは私にとっては喜ばしいことです。

参考
 1926年にスウェーデンの地質学者アンダーソンが、周口店で人類らしいものの歯を発見したと発表した。27年末から、カナダの解剖学者ブラックが、ロックフェラー財団の援助のもとに発掘調査を開始し、大臼歯(キユウシ)の持ち主をシナントロプス・ペキネンシスと命名した。29年末に中国の人類学者が頭骨第1号を発見し、以後、頭骨6点を含む約40体分の原人骨格と149本のばらばらになった歯が発掘された。41年になると戦火を避けて全標本をアメリカ合衆国に発送したが、その翌日に太平洋戦争が開始され標本のすべてが紛失した。人類学者ワイデンライヒによる模型標本が残されていたため、一応の研究は続けられた。大戦後に再開された発掘では、頭骨片や歯などの数点が発見されただけであった。

 
 


 
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