2001/02/12
『還らざるサハラ』藤田宣永 徳間文庫 \762
2001/01
なんと02/10に既読の文庫を二冊も買ってしまいました。一冊はこれで、もう一冊は楡周平氏の『ターゲット』です。当作品を読んだのは多分5年以上前のことと思われますが、後者はまだ一、二年前に読んだばかりのものでした。既読のものを買ったのはこれで10回目くらいか。だけど二冊ともというのも悲劇的な話ではございませんか。講談社から徳間文庫に版権が移行したようです。こういうことを防ぐための当コーナーなのに・・・。
まあ愚痴はこれくらいにして、『サハラ』は酔っぱらったとき読んで明確に覚えていないのか再読に耐えることが出来ました。さらに充分楽しむことが出来ました。
アルジェリアとパリが舞台。
1988年10月のアルジェの暴動の中のカスバから物語りは開始されます。
年月はさかのぼり1980年頃、パリで主人公、有曾奈春樹と同棲しているアルジェリア人の恋人が何者かによって拉致されてしまいます。手がかりをさがして有曾奈はアルジェリア街をさまよい犯人を割り出します。
フランス語通訳としてODA企業に潜りこみながら恋人奪還を計る有曾奈を日本人、アルジェリア人の対立が巻き込んでいきます。
どういうシチュエーションでそうなるのかは置いておいて、1960年ころのフランス軍、FLN、OAS の内戦とも話はオーバーラップしていき有曾奈はある真実を知ることになります。
余談ですが、麻雀で中と東をポンするかあんこで持っていた場合、中東にちなんで三翻付くのだそうです。
アルジェリア人と結婚したことのある、やはりODAで通訳をしていた知人がいたり、アラブのどこかの国に嫁いだ親戚がいたりしまして他人事ではない感じで読みました。小説のアルジェリア人は本当のアルジェリア人ですが、知人の方はドイツ人種のフランス人のアルジェリア人でしたが。
日本人にとってイスラムははかり知れないというのがメインテーマになっているのかな・・・
ちなみに楡周平氏の『ターゲット』もかなりおもしろかったのを思い出しました。
アルジェリア独立戦争
1830年以来フランスが植民地化してきたアルジェリアは,第2次世界大戦中にはナチスによって占拠されていた.1942年連合軍によって解放されるが,その後の第2次世界大戦後の処理は,フランス人にとっても非フランス人にとっても不満足なものとなり,両者の間で緊張が高まり,54年アルジェリア独立戦争が勃発した.戦争は,62年フランスがアルジェリアを,ベン・ベラを指導者とする独立した共和国として認めることで終結した.同年ベン・ベラは首相となり,翌年初代大統領として選出された.
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