2000/11/12

『峠』 劇団山形創立35周年記念第60回定期公演 演劇鑑賞感想文

「熊さんや、演劇っていうものを30年ぶりに見できたず。」

「八っつあんや、そいづは良かったなっす。ほんでどだなあんばいだったけべ。」

「いやいや大変な賑わいで椅子に座らんねくて通路の真中に腰を下ろして見っだけは。あだい人いっぱいいだのに知ってる人だれもいねっけな。」

「んだがした。いやいや大変だっけなっす。ほんでどごの話だったけ。」

「直木賞作家の高橋義夫という人の『風吹峠』っていうのが原作の創作劇で、彼も見っだっけ。
なにやら部落の名前が根子沢村といって左沢の近くで、風吹峠という峠のある場所が舞台になってたっけなっす。ほして峠を越えて山形に行くんだど。」

「八っつあんや、それは変だべず。風吹大橋というのが寒河江ダムの手前の岩根沢のとこにあって、根子沢という沢はそこから15kmも南に行った大井沢の南外れだべ。その二ヶ所とも西川町、左沢は大江町だべず。」

「熊さんや、なしてほだい詳しいのや。」

「根子の部落の隣が見附という部落で寒河江川がそこで二つに分かれ、片方が根子川、もう一つが見附川になりどちらもいっぱい岩魚のいる川なんだじぇ。何年か前はざっこ釣りによく通ったんだず。見附部落には花柳幻冬さんという人の道場もあって一年に一回公演をしていたんだど。んだけど去年だがおととしだがの大雪でつぶされてしまって立て直すお金がないんだど。ほしておらいの二番目の娘の同級生の実家がほごのとなりなんだじぇ。
ほしてどだな話だっけ。」

「んだな。部落の女医さんが主人公で、ある男と恋をしたんだけど部落やとうちゃんとのしがらみに押しつぶされてしまって成就ならねくて、ほんで開き直って村のために生きていくという話だっけな。」

「随分簡単なんだなっす。」

「おれは一口で言うのが好きなんだず。AB型はほだななんだど。んだげんと、ばんちゃが出てきたり、しみだいこんば食ったり、笑いあり涙ありのそれはそれは2時間もの感動巨編だったっけぞ。」

「八っつあんや、来年はおればもちぇで行ってけろ。」

 
 
 
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