釧路逹庵のきたよし便り

2001/11/28開始
 ━━親父の友人、釧路北病院長様からの便り━━
渓流釣り人にとってはアラスカに匹敵する憧れの場所、
釧路でガンガン釣りまくっている院長先生からの便りです

釣り情報   2007 12   釧路 加藤達郎

2007/12/08

 
  晩秋の頃、皆さんお元気でしょうか、今年は春のアメマス、夏のヤマメを報告しましたが、今回は今年の秋のアメマス釣りを送ります、今年の秋は何時までも、暖かさが、続き紅葉も遅れました、しかしアメマスは毎年お盆が過ぎると産卵のため海から川の上流を目指します、鱒、鮭の遡上とほぼ同じ頃です。
 釧路でも最近は海アメ釣りが盛んになり、釣友達からも海アメの情報を時々受けていましたが、私は相変わらず川のアメマスをねらっていました。
 9月の初め台風が通過し増水、濁流となりこの間、釣りは休みの状態になりましたが、中旬になって、回復、早速元弟子のA君と近くの何時もの川に行くと、もう待ちきれなかった釣り人達の車が良いポイントには何処にも駐車していましたが、何処も釣果はよくないとのこと、試みにやってみるとウグイ交じりで40センチに満たないアメマスがヒットした位、あちこちで鮭の産卵が見られ、アメマスはまだ早いくらいか、しかし、下旬になってもこんな調子でした。
 10月初旬となり、もう良い筈と以前名人の案内を受けたポイントにA君と川べりに立ちました、所が気温は8度でしたが水温は12度もあり、一体に浅くなり、あまり期待は出来そうもありませんでした、暫くやっていると、少し離れているA君が倒木の付近でライズがあり、中型だけど出るよと呼ばれ、行って見ると倒木の下流に一箇所フライを流す場所がありました、 
「此処しか無いですよ、交代でやりましょう」と薦められました。
 それではと彼がティペットを交換している間に、私が村上スペシャルをキャストすると直ぐに40cmがヒット、秋の初物となりました、リリースすると又ヒット、同じ位の型が又ヒットと3尾続きました。
 そこでA君と交代、彼も連続ヒットし又交代、今度はと私は大型を期待して6番の太めフックに巻いたチャトリュースのスカッド風のフライを慎重に流すとインジケ−ターの流れがふっと止まり根掛りかなと思い少しロッドをあおるとこれが50cm近い良型でした。
 私は『良い型でしょう」と近寄った彼に「このフライで」したと同じフライを進呈、試して貰うとこれが良かったのか、56cmの体高もある立派な型が彼のロッドを丸くし、しばらくはランディング出来ず、勿論ネットにも入りきれず、苦労しましたが何とか浅瀬に引き上げました、彼はこれでもう大喜び、今年の緒戦を終え、私も心から満足しました。
 次に10月下旬、釣り友のDrH先生から毎年この時期に良型が出るポイントに誘われ、待ってましたとばかり快諾しました。そこは良い場所なのに何故か余り釣り人が行かない場所なので、ゆっくり遊べるところです。
 約束の時間に彼の四駆がやって来て、早速私の荷物一切を乗せて出発、国道をまっしぐら、西に進みました、何時も行きにはその日の釣りへの期待を話し合うのですが、、今日は違いました、彼の最初の言葉は「あそこで熊の足跡を見たって、知り合いが云ってましたよ」との一言、釧路ではそれを聞いたからって誰も驚くことではありません「まあ、いないことは無いよなあ、会わないようにするだけで大丈夫、でも新しい足跡だったら退却だな」 
と私は呟くように答えました。
「それでね、熊よけのスプレーを買ったんだ、上手く使えれば良いけど、ただ熊がいつも風下にいればのことで、風上だったら使えないし、それでも、まあ持ってるだけで少し安心はするよ」とハンドルを持ちながら「でも実際熊に襲われて使えるかなあ」と付け加えた彼の話しには少しばかりの戸惑いも見えました。
 でも「いざとなったら人間結構やれるもんだ」私は確信を持って答えました,これは過去の戦いの最中で幾度も経験があります、そりゃあ、持たないよりは持っている方が遥かに良いに決まっています。
 釣り場近くに着くと此処は道路工事が始まっていて、熊もこれじゃ昼間は出てこない、今日は先ず心配ないと安心もしました。
 何時ものポイントは先日の雨のためか、いくらか水量が増えて釣りやすいようです。携帯の椅子に腰掛けて早速支度を始めました。H先生はシステムセットをドッドに付けたままで車に置いてあるから直ぐにキャストが出来ます、私がもたもた準備している内に40cm位のアメマスがヒット、「いますねー」と云いながら又ヒット、そして上流へと歩いて行きましたた、私へのご配慮があってのことだが、いつも彼は私が安全な所で余り移動しないで楽しめるようにしてくれているのです、彼は又上流、下流へと良いポイントを釣り歩くのも好きなようです。文字通りの有難い釣り友であります。
 やっと準備が整ってから私は立ち上がりました、今日は愛用のスコットの5番ロッドでラインも5番、リーダは4番、ティペットも4X、それに10番の自作ウエイト捲きスカッド風のフライをセット、これで今日は60cmの大物をと昨夜から決めてあったのです。
 少しばかり立ちこみ、腰を落とし、偏光眼鏡を通して流れの中を見ると大型のアメマスを中心に周りを取り囲むように中型少し離れて小型も見えました、正にかの連合艦隊が港に停泊しているようです。
 先ほどから流れ込みでライズしているのは小型のアメマスらしく、こんな魚の群れはこの時期、この辺の川の深みでは珍しい事ではありません、釣りマニヤとしては弥が上にも興奮させられますが、これが中々の難物、時には全く口を使わないこともあり、「いるけど食わない」こんなせりふがよく聞かれる時期でもあります。
 しかし今日は、さっきH先生が連続ヒットしたんだから大丈夫と云う思いで胸の高まりは並みじゃあなかったです。川の流れとその勢い、アメマスが定位している位置と深さを考えて、インジケーターの位置とウエイトの大きさを選びセットする、後は何処にフライを落とすか、それにより今度はキャスティングの位置と方向を見定めて、いよいよ今日の釣りが始まるのです。
 深呼吸を2回やりました、期待で高まった心臓の鼓動を少しでも鎮めるためにです。誰でも経験するでしょうが、それほど最初の一投は緊張します。リーダーとそれに続くティペットには大型のフライにウエイト、インジケーターがセットされているので、通常のキャスティングでは投げにくいので、普通はロールキャストをするですが、それも力で投げるのでなく、ロッドの弾力を上手く使い、放り投げるような感じで、どちらかと云えば、バンブーロッドか今は余り使われていないグラスロッドを振るようなスタイルが良いのです。
 この場所は流れ込みの上流が浅いので、そこから流すわけにはいきません、ちょっと無理ですが流れ込みの頭にスポット投げ入れ、流れ始めたらメンディングを2度ばかりやり、大型の定位する所に正確にフライが沈むように流さなければならないのです。気温8℃水温6℃微風の素晴らしいコンディションです。
 さあ慎重に少し体を屈めての第一投、思ったように上手く流れにのせましたフライも深みに消えました、後はインジケーターに注目少しの変化も見逃せません、時にもよりますが大型ほどインジケーターの変化が少ないのです。
 しかし流れているインジケーターには何の変化もなく、ここぞと思われる場所を過ぎてしまいました、張りつめた気が緩み。何だ駄目かとロッドを上げようとしたその時インジケーターが斜めに引きこまれました、反射的合わせるとヒットです、他の魚を驚かせないように、流れの下流に魚を誘導するのです、でも魚は上へ下にと逃げ回りますから思ったようには行きません、今ヒットした魚は40センチ前後の中型でしたので、何とか場所を荒らさずにランディングしてリリースしました。
 二投目はポイントはずれ、そのまま流してやり直し、3投目ヒットはしたが途中でバレ、これも大きくはありません、そこで根掛りを覚悟してウエイトを少し追加して見ました、3投目,いい具合にフライが深みへと流れたようです。するとインジケーターが僅かに動きました、あれっ?根掛りか?とロッドを立て引いて見ると,違う、大物です、ごくんと2度ばかり首を振ってから上流に動き出した、心臓が止まりそうな気持ちと、それでもこれは絶対逃がさないぞと云う気持ちが錯綜したが、「落ち着け」と自分に言い聞かせ慎重に魚の動きに無理無く対応、もう釣り場が荒れてもこれさえ釣れれば後はどうなってもと、自分が浅瀬とは云え川中で顛倒しないように気配りも欠かさず、暫くは深みの流れで魚の力を消耗させ、それから浅瀬に誘導しましたた、幾らか弱っているようですが、背びれを見せながらも、まだ強い引きをしている大型のアメマスは60cmを超えているようです、しっかりフックが下あごに掛かっているので先ずは大丈夫、後は何度もアメマスの頭をあげ酸欠にして弱らせてからランディングだと、自らは何度も深呼吸をして心を落ち着かせてロッドの操作しました。
 ランディングしたアメマスは64cm、これを両手で持っている写真が欲しいが誰もいません、そうだH先生が戻って来る迄生かしておこうと川縁に石を集め丸く並べ、浅い生け簀を作って入れて置きました。
 ここ迄して終わったとき私は初めて疲れが出てきました。椅子に腰掛け,水筒からお茶を飲んで、からからの喉を潤しました。そこで我に帰ったのか「良かった」と喜びが湧き出て、幾度も生け簀のアメマスに目をやりながら伸びて弱っているティペットを交換したり,フライフックの点検をして次に備えました。
 それから一時間位の間に休み休みアメマスをの50cm前後でしたが、いずれも強い引きで私を楽しませてくれましたし、戻って来たH先生に写真を撮って貰いました,昼近くもう帰ろうとしていましたら、先生の釣りの弟子がやって来て私は初対面でしたが『今日は余り喰いが良くないですね」と報告、先生は「そうでもないよ」と返事をしてましたが,後で帰る車の中でどうして喰いが悪いんかなあ」と不思議がっていましたが、矢張りこれも年期がいるんでしょうね。
 最盛期の11月は天気も安定し水量も少なめでしたが、その分群れで居る所さえ見つければ良い釣りが出来ました、ひどく寒い日気温3℃水温0℃の日でも良く釣れましたが、流石12月にはもう出かける気はあっても体が許しませんので今期のアメマスは終わりにしました。元弟子のA君、Y君と私それぞれの良型の写真を添付して釧路からの釣り便りをおわります。

つり情報 2007/07/02

知床のヤマメ

こっちはオショロコマ
弟子のA君↓
弟子のY君↑


 先週ブユに刺されながらも初めて渓流つりでオショロコマをヒットさせ、大満足のY君の痒みも治まり、7月の解禁日は近くの川で毎年行われる職場釣会を開く予定だった。ところが当たらない事で名のある天気予報であっても、ああ念入りに説明されると、素人の我われは心ならずも納得させられるのではあるが、それが1日は雨、処により大雨と予報されたので残念ながら中止となったんです。
 それでも長らくこの土地に住んでいる連中は空を眺めて明日は大丈夫、雨は無いよと自信有りげだ、どうもじっとしてはいられない、Y君にメールを出すともう別の用事に決めたと情けない返信、さらばと以前は弟子、今はもういっぱしのFFマンとなっているA君を誘うと、二つ返事で行くとの返信、なんだかメールの画像が踊っているような嬉しい返事だ。ようし決まったと念入に明日の準備と点検をすませた。
 解禁日だからといつもより早めの出発車で約2時間半の道のり、先週下見に行った知床へ向かう、「大丈夫と思うけど山にかかっている雲、あれが気になるなあ」と運転しているA君に話しかけると「うん、さっきからかかっている雲動かないね』と彼も、気になってるようだった。
 車が知床近くの小さな町を通る、この町は以前から店は日曜は全て休みだ実に徹底している。車のガス欠を起こすと大変だ。通りすがら、小さな小川の目をやる、増水はしていない2日前の雨の影響もないようだ、町を過ぎ牧場の中の真っ直ぐな道路を走る、左に見える山なみの上のほうは雲に覆われている、あそこは雨が降っているのだろうか、此処まで来て心配が増えるのは頂けない、暫らくしてから国道に入る、山が近くなって来て、心配していたようにフロントガラスに小さな水滴がつくようになった、、目指す川はあの山の下なのだ。
 Y君は無言でハンドルを握っている山道に入り、左手の林を経て清冽な流れが見え始めた。この川はもう何十年も前からのお馴染みの川、釣りのポイントは殆んど変わっていない、人の手による害を受けていない貴重な川なのだ。
 「どこにしようか兎も角先行者の車がある所はやめて」とA君に話すと「開禁日にしてはあんまり来てないですね、雨のせいかな、この次のポイントで良いでしょか」
と答えが返ってきた、カーブ毎に警笛を鳴らしての慎重な山道運転、エゾヤマドリがばたばたと飛び立った、今日は霧雨の中の釣りだなあと覚悟した。
 道路脇に駐車、身支度を整える、相変わらず霧雨が降ってはいるが、先程より幾らか空が明るくなっていた。川縁に行くには道路から2mほど降りて潅木の茂った疎林を越さねばならない。いくらか湿地になっているのでウエーダーの足が取られる。少しの距離だが、藪をかい潜りやっとポイントの前に立った。
 この場所は狭い、二人は無理、A君は下流のポイントへと別れる、後から私も下がる予定だ、霧雨のせいか虫は見えない、先週のブユで懲りて今日は防虫クリームを満遍なく塗ってあり、更に先程A君がスプレーを掛けて呉れている、天候のせいか流れの上を飛んでいるメイフライの姿もない、でもよく見るとライズがある、ようしとフライを結ぶ、ここは先ず10番のかディスで行こう、薄茶のエルクヘヤ―だが大きいから視認性は良い、第一投が大事だ、大物が出るのだ、フライを落とすポイントを決めて、落ち着くように深呼吸を2回した。
 後ろの藪に気をつけてのキャスティングとプレゼンテーションがきまって、フライが流れに乗った、緊張の数秒、フライがすーっと消えた、自動的に素早い合わせで魚はヒット、この瞬間ロッドが弧を描き持つ手に伝わる魚の力、でかいぞ、この力と動き、ヤマメだ、と嬉しさがこみ上げて来たがネットに入れるまでは安心はできない。
 狭い流れだから余り長く遊ばせると場所が荒れて、しばらく後が続かなくなる、なるべく主流から離してネットインした。一年ぶりの再会である。丁寧に扱いリリースした。嬉しい、天候は良くないが、どうやら歓迎された気持ちでちょう満足、続いて型は落ちたがヒット、ヤマメの食いが終わると結構型の良いオショロコマの連続ヒットがあったが、ここはこれで終わりとしてA君のいる下流に移ることにした。
 約40m位の浅瀬だが全面に滑りやすい苔がある、去年までは余り気にせずに渡渉出来たのだが、今年はひどく顛倒が恐ろしくなっているので、渡渉用の折畳みの杖を用意したのだが、生憎車に乗せたまま、まあ良いと私はいつものように渉り始めた。
 足元の石と流れを見て、一歩一歩と慎重に、足が滑らないように確かめてから次の一歩を出す、この際の体重の重心の移動が問題なのだ。途中流れの中央付近で一休み、しかし立っているとやっぱり不安な気持ちが出ているのを痛感した前に行くには自信がない。さりとて、回れ右が出来るかって、それは更に危険だ、 やっぱり前に進むしかないのだ。
 カメラも時計も防水だから心配ない、携帯は持ってない、例え転んでも溺れる深さではない、と自分の気持ちを自分で楽にし、膝を曲げ重心を低く保って進む、あと2mの所で膝を伸ばして一息つく、もう少しだ、少し下流に行くと渉りやすい場所があるのだが、下るのは自信がない、このまま進もうと踏み出す、見たより深く流れは強いが、大きな石の上手だから、足が浮いたらあそこに掴まろうと気を落ちつかせた。
 かくして、やっと無事渉りきる事が出来た。20分もかかったが、自分なりの達成感があり、自分の限界も判って安心した、又長い釣り人生の集大成の一つだと嬉しくもあった。そこから、少し川べりを下るとA君が手を振って迎えてくれた。
 [え?渉って来たんですか、迎えに行こうと思ってたんですよ、ひどく滑りやすかったから」と少し呆れた様子、「どう、ヤマメ出ましたか」「出ましたよ、4〜5匹、未だ居ます、オショロコマ混じりでが、さあやってください」とA君の声が弾んだ。
 彼が大分釣ったあとだからと私はフライを12番の変形ロイヤルコーチマンにして、初めはプールの流れ込みの向こう側に投射、結構流れは急だったが出てきたのはオショロコマの良型、ようし、それなら流れの中央にとフライを流すとほんの少し流れ所でフライが消えた、出ました良い型のヤマメ3番ロッドがUの字描いた、次もヤマメ、やっぱりヤマメはコーチマンは好きだなあとA君に1個差し上げた。「これって捲くの難しいですよね、バランスが上手く行かないんですよね」「うん、まあ、そうだが、フライが横に落ちても此処の魚なら大丈夫だ、使ってごらん」と薦めた。コーチマンに変えてからA君はオショロコマ混じりで良型のヤマベを3尾続けてヒット改めてコーチマンの威力を新たにした。
 ところが今朝から降っていた霧雨だが、釣りに夢中で忘れていたが、なんだか手がおかしいと気が付いたら寒さで凍えていたのだ。それに気が付くと今度は急に全身に寒さを感じた。温度計を出して測って見ると気温10℃水温8℃ 「いやー、寒いよ手が凍えているよ」と言うとA君もそれを待っていたかの如く「川を渉らずに此処から上の道に出ましょう」とロッドを仕舞い先頭に立った。 今日の釣りは多分遡上してきた、サクラマスを良型のヤマメの一群が歓迎して集まっていた為だろう、こんなことは幾ら知床と言ったってそう出会うもんじゃないまだ釣りの途中で未練はあったが、この寒さは山の神様の声かもしれないと諦めた。
 藪の中をA君について行くと思ったより簡単に林道に出ることが出来、早速車のヒーターを入れ、もっと暖かい国道に出てから飯にしようとハンドルを握った。
 先週はブユの襲来、今日はこの寒さで、ちょっと残念だったが、体が温まってきた頃には、やっぱりこれが知床、これが魅力で何時までも心が引かれるのだと、お互いに納得し、二人の釣り人はしばし無言、知床で釣りを楽しめる幸いをしみじみ思うのでした。

2007/07/26
 オショロコマはドリーバデンのお陸封されたもので主に道東に多いです。
 内地の釣り人は余り縁がないと思いますがイワナの仲間です 昔は30センチを超すのが川に居ましたが,現在30センチをきれるのが大きい方です,然別湖のような湖では大きくなります。
 ヤマメも個体数は多いですが、寒冷な時期が長く水中昆虫の育ちも遅くそれに仲間が多く、餌不足のためか、内地のように大きいのは昔からそう多くはおりません
 私の最高は32センチです、大川でウエットで釣りましたが,今は渓流ばかりで釣っているのでなかなか会えません、では

釣り情報   2007/06

知床の初釣り

 天候不順の釧路地方の今年の渓流釣りは例年通りには行かず、どうも納得出来ない状態で経過中です、待望のヤマメの解禁日は七月1日ですからまだ1週間あります。ところで、北海道では鱒の稚魚が海に下る4月?5月一杯をヤマメ禁漁の期間として居ますが、北東部は気温が低いので一月遅れの5月、6月一杯としています、ですから釧路地方では7月1日が釣り人にとっては待ち遠しい日なのす。気温が低い年ですと解禁過ぎでもサクラ鱒の稚魚所謂ギンケ、本州のしらめに相当する魚が釣れることがあります、初めての人はヤマメと間違えて釣って持ち帰る人もありますが違反です。
 今年は早くから気温や水温が上がったり下がったりして魚も人も体調を崩した位でです。先週は比較的暖かな時期でしたので、昨年からフライ釣りをはじめまだ訓練中のY君に渓流の釣り方を知るために禁漁でないオショロコマを相手に練習しようと知床の川に出かけました。イワナでもよいのですが、数も多く釣り易いですからね。
 初めに行ったのは比較的小さい川ですが石も多く魚の住処も多く良いのですが、彼にとっては石と石の間の狭い水面にフライを投げるテクニックが上手くいかないのと流れによるラインの扱い方の不慣れもあり、余り適地ではなかったので、場所を大きな川に変え、今度は比較的ゆったりと流れる深みの所でやることにしました。ここなら彼のフライ歴で何とか釣れる筈と独りで釣らせることにして、私は少し離れた場所でフライを流す事にしました。
 毎年この時期にはこの川を訪れるのですが、年毎に虫が少なくなり防虫スプレーもいらなくなり、知床の中身もすっかり変わったのだとスプレーを持たずに出掛けていたのです、これが失敗でした。
 知床悠久の自然を流れるこの渓流の美しさの中で美しいヤマメやオショロコと自作のフライを流して、騙すか騙されるかの知恵比べ、お互いの運動神経の微妙なやりとり、もうたまりませんよ、それに魅かれて何十年通ったことか、余命いくばくも無い私にとっては、今年も又来れましたと心しみじみ感謝するの他はありません。弟子のY君は未だ若いそんな私の気持ちは持ち合わせないが、やがてはわかる事だろう、それを願ってフライフィッシングの手ほどきをさせて貰っているのだ、こんな思いで彼を見ると、未だラインのセッティングも出来ずもたもたしているのです。
 私は川の下流50m位を指差してY君、あそこで川はカーブして直ぐ大きなプールとなっている、あそこなら君のレベルで釣りになると思うよ、行って一人でやってごらん、何時も基本を忘れずに、ときどき熊よけの笛を鳴らすのを忘れないで、私は足が悪いから此処でやる、移動する時は俺の笛をならすからと彼をこの時季最高のポイントに行かせた。
 彼の姿が川下のカーブから消えるのを確かめてやっと目の前の流れに目をやる、偏光レンズを通してみると保護色のオショロコマは見分けにくいが流れ来る餌をねらっている小型ヤマメが平を打ちキラッ、キラッと光るのが見えている新子だから釣りの対象にはならないが、流れの強い中央には大型のヤマメが居るに違いない、あくまでも希望的観測だが、それも釣りの楽しみなのだようし、付近を飛んでいるのは小型のメイフライだが、ここはフライを大型のカディス号数で云うと8号に決める、これなら新子が掛かる心配はない、流れ込みの頭の少し下をねらってのキャスティング、うまくポイントに落とし流れに乗せて自然に流す、胸がどきどき打つのを感じながらフライに目をやるバッチャ、音は聞こえなかったが、元気にフライに飛びついたのは12.3cmの二年子だ、何だお前じゃないとリリース、普通は一番大型が最初に来るのにおかしいな大型は居ないのかと一寸がっかりした。
 フライの水気を取り気を取り直して同じコースを流す、その流れの中に白い影が、ふわっと浮いて来たようでもあった、あれっと思う間もなくフライは消え、少し遅れ気味だったが合わせを呉れる、同時にやったーと叫びはしなかたが、どっどに強い引きが、ラインが下流に向かって引かれる、それをやっと止めると今度は上流にと流れの中を右往左往、大物だ慎重にゆっくり、あせらずにと自分に言い聞かせた対岸にある流木の下に潜られたらお終いだ、しかし魚はだんだんスタミナを使い果たしたのか姿を現わしたパーマークがはっきり見えて美しい、背中のネットを取り静かにネットイン28cm幅広の何処にも疵なしの美形、見とれて溜め息が出た。
 すっかり良い気分で釣りを続けていると手袋を上にブユが一匹と待っている叩こうとしたが逃げられた、この時季必ずと云って良い程ブユに刺されるので余り気にはせず釣りに夢中になっていたが、いつの間にか上半身にブユが一杯集っているのに気がついた、昔はこれが普通だった、でももう忘れていた現象だ、防虫スプレーを持って来なかった、残念、ブユはもっと増えるだろう、これれでは釣りにならない、ブユを追い払いながら、Y君はどうかなと心配になった道路に出て彼の釣り場の上に出て笛を鳴らした2回3回下の川筋からおーいと返答があった、引上げるぞーと大声で叫ぶと了解お返事でほっとした。
 上がってきたY君は兎も角釣れました連続大きいオショロコマが10尾位釣れました、初めてですと大喜び、名人になったようです、大きいヤマメも1つありましたと報告、私は、俺はブユにやられて参ったよと苦笑いで話すと僕もやられましたと両腕のシャツを脱いで見せてくれた、真っ赤な刺され痕が両腕の内側に並んでいた、腫れる方かと聞くとそうだと答える、帰って手当だな、と歩きながら車に到着、兎も角国道に出よう、ここは虫で一杯だと国道に出て駐車場に駐車、昼飯と美味いコーヒーを沸かし、緑の森からの優しい風の慰めにも感謝し、まあ良かった虫には食われたが、魚は釣れた、入門コースは卒業だなとYくんを祝福してあげた。次回からは防虫にお忘れなく、肝に銘じました。さあ、解禁まであと1週間、準備おさおさ怠り無いように幸運を祈ります

逹庵釣り情報 2007 4

20047/04/04


 異常気象が続いた今年の冬は例年より暖かく雪雨もすくないので川は夏の水量が心配されるが、今年は早めにシーズン開始となり3月になると釣りの情報も聞こえ、それによるといつものようにひどく雪代濁るような事にはならないようだ。
 三月下旬になって、名人S君に「良いポイントを見つけました。安全で膝上長靴でも大丈夫、車から50メートル位で、案内しますよ」と笑顔での誘いがあり、満を持していた私が断る筈も無い。二つ返事でお願いした。歳を取ってから早春の釣りは危険が伴うので遠慮していた私だが今年の暖冬は例外なのだ。
 3月24日先行しているS君が待っている新しい釣り場に着くともう目の前でロッドをしのらせているS君の姿があり、早速支度をして川辺に立ち、先ずはマラブーストリーマーでと始めると名人が来てルースニングが良いですとの事、この際何の異存もない。フライはと聞く12番のビーズヘッドニンフ「それ持ってないよ」「じゃあこれ」と名人は私のフライを外して付け替えてくれた。
 名人がロッドであそこの棚になってる氷の前の流れに流すとよいと教えてくれた。そこで、黄色のインジケーターを付けて何回目か、ヒット。やったあとロッドを立ててアメマスの引きに答えてのやり取り落ち着いて、と思ったそのとき魚はエメラルド色の川底できらっと光り反転、フックから逃れてしまった。残念、そばで見守っていた名人が「少し沈ました方が良いかなと」独り言のように呟いて、フライの頭に小さなウエイトをつけた。この辺の気配りは余人の出来る事ではない、名人の名人たる領域か。2投目にヒット、慎重に手元に引き寄せたら名人がホーセップで優しくリリースして呉れた。いやはや至れり尽くせりのお世話になってしまった。今年の初釣り、侭ならぬ89歳の我が身を思っての心ずくしの持てなし。そればかりか初釣りの一部始終を仲間がビデオ撮影していたのだ。今手元にあるが全く感謝の極みである。その後私の動作に安心した名人は少し下流に行ってキャスティングを始めた。
 その後で2〜3尾のヒットがあり。レビユーの3番ロッドをUの字にしての引きを堪能し、カメラにも納めたりしたが、初心者と同じライントラブルもありもう十分、心にも余裕が出来て、椅子に腰掛け、魔法瓶からのコーヒーも味わい休んでいると、下流の方から初めて見る釣り人が4人ばかりやって来た。中の一人はベテランらしく色々世話をして近くでキャスティングを始めた、聞くと、ここには前にも来た事があるとのこと。ベテランの人は、はキャスティングも上手で良くヒットするし、自分が釣れた場所で、私にここでやりなさいよと勧めたりした。どんなフライを使っているのかと初心者らしい人の側に行って、挨拶し、見ると、大型の6番のフックに捲いたウーリーバッカーで派手な色合いのフライだった。人はそれぞれフライもそれぞれだと良い勉強も出来た。
 所でその後、川辺りを歩いていたら、それと同じフライが落ちていたので、有り難く頂いた。このフライを帰ってから分解して調べ、自分なりに改造も加えて使って見る事にした。
 今日は名人や職場の釣り仲間の世話になり、思いがけない初釣りが出来て本当に嬉しかった。家に帰り家内に話したら、それじゃあまるで殿様釣りだったでしょうと喜んで呉れた。
 春の天気は変わりやすい、その後雪が降ったり小雨が降ったりして多分幾らか増水もあっただろうが、雪代の濁りさえなければと日を置いて今度は私が案内して釣り友A君と同じ場所に行ってみると、30cm位の増水で川幅が広がり、ポイントが掴めなかったが、前回の拾ったフライの改造型で連続ヒットがあり、今日のアメマスのために持って来た愛用のバンブーロッドを唸らせた。
 ロッドも満足しただろうが、新作のフライも良かったので、私には今日も幸いに満ちた釣りだった。
 この日A君はまあまあだったが、2時間程で急に空が曇って来てアメマスの喰いが止まり、雪まで降って来たので、車に戻りまだ早いからと以前からのポイントに移動した。此処は、雪も無くやや明るくもあったが、川は増水、濁りは薄いが私には徒渉し難い様子、無理は禁物、高見の見物を選んだ。
 A君だけが腰近くまで浸かって渡り、ポイントでやってみたが全く当たりは無く終わった。春先の釣りは天候の急激な変化に左右される山でも川でも十分注意し、無理は絶対にしないといつも思うのである。
 四月に入り釧路川のアメマスも釣りもそろそろ始まります、今年はいつもより早くから始まると期待してます。又お伝え出来ればと思います。

2006年のラストフライフィッシング 2006・12・3


 異常気象で何処も暖かいと云われて居ますが北海道の東、釧路では12月になるとルアー釣りはまだ可能ですが、フライフィッシングの方は難しくなります。今年は暖気と寒気が交互にやって来て、休日アングラーを泣かせました。今回は12月3日生憎の寒気中の釣りを紹介させて頂きます。
 前の晩から万全の支度をした朝7時半、約束通り釣り友のA君が迎えに来ました、寒気ですからいつもより遅い出発です。「冷えますね」と挨拶を交わしてから車に釣具一切を乗せて、暖房の効いた暖かい車でのドライブです、車は海岸沿いの国道を西に快適に走ります、釧路はこの時期まだ雪はありません。
 国道の道路情報ガイドでは気温−8℃と表示されています、「−8℃か、山の方は−12℃位かなあ」とA君が独り言のように呟きました。 
「−12℃じゃあ、ガイドが凍るよ、まあ陽が高くなれば良いだろうが』「でも、陽が出るとあそこは食いが渋るからね』と口には出さないけれど、二人共少しばかり心配にもなっていました。
 釣り場は去年から河川改修の工事が行われその後度々の増水でポイントが変化し、工事前より1メートル以上浅くなり、魚は明るさと人影には数倍敏感になっているのです。
 釣り場には先行者の車が2台あり、その1台には支度中の釣り人が2人いましたので、挨拶をして、下流か、上流かを尋ねましたら上流に行くとの返事、良かったです、私達は下流のポイントを予定していたのです。
 早速5ミリ厚のネオプレーンのウエーダーを履きリュックを背にロッドを持って河原を下流の方に歩き、ポイント近くで川を渡りました、水量は多くなく楽に渡渉でき目的のポイントに到着です。
 「今日は二人で大漁ですね」とA君はご機嫌の様子ですが、私は釣りの支度が手間どって返事も出来ません、体には白金カイロを2個、更に使い捨てカイロを4枚も貼っていますから暖かいのですが、露出している指先の動きが悪いのです、そうです−12℃を忘れていました、指が凍えていたのです。それでも何とかロッド、リール、ラインのセットが終わる頃、A君はもうキャスティングを開始していました。川べりは凍っていますから転倒に注意して川に立ち込みますが川岸近くの流れは膝下位の深さですから危険はありません。フライを流すポイントは向こう岸の低い崖の深みで、川面には薄いシャーベット状の氷が流れていました、風も無く静かに流れるその水面にそっとフライを投げ落とし沈ませます、錘を使って川底を転がすように流すのです、フライや錘が川底にひっかかることもありますが、其の位が良いのです。2投目3投目何の反応もありません、A君は私より少し下流でやっていますが、まだヒットは無いようです、寒くて活性が低いのかと思いつつの4投目、なぜかキャスティングが上手くいきません、見るとラインを通しているガイドが凍り氷がばっちりくっついています、この時期こんなことは当たり前のことですが今朝は特別ひどいようです、ロッドを流れに漬けても凍りは溶けません、水温が低いのだと測ってみると1℃です、これには驚きましたこんなに低い水温で釣った経験はまだありません、初めてのことでした。
 顔を上げると当たりのないA君が向こう岸の崖の上に上がり魚がいるかと見ています、「見えるかい」と叫ぶと「居るよ、型は小さいけど」と元気な声で返事が返って来ました。それならばと気を取り直し、ロッドの氷をホーセップで潰して、ロッドやラインの水気を乾いた布ですっかり拭き取り再びキャストを始めました、それから何回目の事か、今度こそ僅かな変化もと見逃さないとリーダーに付けていたインジケーターに精神を集中していると、根掛かりとは少し違っているような変化、反射的にロッドをあおると、それが合わせとなってロッドから伝わるアメマスの信号、やったーと胸が弾みました、ヒットです、ロッドを立て、ラインを手繰ると何時もの強いアメマスの引き、嬉しさがこみ上げて来ます、でも、再びラインが凍り始めたのか動かなくなり、止む無く河原を後退して魚を川岸の浅瀬に引揚ました。40cmオーバーの中型でした。
 陽は大分上がりましたが気温は未だー10℃でラインの凍結も続いている中、間もなく再びヒット、同じような型でA君にカメラを頼み、魚はリリースしました、ラストフィッシングだというのに彼にはヒットが無く、残念でしたが、寒さが身に堪え、もう限界で終わることにしました。ラインが凍っては物理的に釣りは出来ません、しかしこんな条件でもアメマスは釣れるんだと良い経験をしました。この朝2時間ばかりの釣りでしたが、帰宅してから夕方まで体が硬かったです。少しばかりの未練も残して、でも楽しかった今年の釣りは終りになりました。来年も良い釣りが出来ますように祈ります。


達庵

2006/12/07


フライで釣りたい
 
 フライを教えて下さいよ、と云われて戸惑った、この所毎年、シーズンオフに新人へのフライのタイイングの講習をしてきた私なのだが、結構楽しいが苦労もあるので、講習は去年でもうお仕舞い、今年からは自分なりの新しい試みをと予定していた。それで彼には曖昧な返事しか返していなかったのだ、それにもう今はアメマスのシーズンで暇はない、それとこれからでは遅すぎる、今期には間に会わないとも思って、それでもせめてフライフイッシングの概要だけでも知って貰いたいと、九月の終わり頃、彼に昔から愛用のオービスのグラスロッド6番を貸してキャスティングの要領を一回やり、誰しもが経験する苦労を経験させようとした。ところが多分投げ出すと思った彼が何時釣り場に連れて行ってくれるのかと云って来たのにはいささか驚いた、本当に覚えたいのだ、まあ、人知れずどの位練習したかは定かではないが、釣り場の傍らで文字通りの面倒をしてあげれば何とかアメマスのあの強い引きを味あわせられるかと思った。
 彼はY君、30半ばでルアーの経験があり、同じ職場の事務の仕事を受け持っている、何時か仲間とアメマス釣りに行ったとき、自分のルアーより隣の仲間のフライの方がずっとヒットが多く、それ以来何時か機会があればフライを覚えたいと思っていたそうで、今回は月末は忙しく暇が取れず次の旗日なら行けるとのことで、初釣りをシーズン酣の11月23日に決めた。
 初釣りを何処にしようか、絶対に釣らせるとなると、キャスティングがし易くランディんグもし易い釣り場で、しかも余り釣り人の行かない場所?そんな釣り場がありますかって?それがあるんですよ、アメマスのメッカ道東、そこで選んだのが釧路近郊の某川しかも熊の心配のない所でつい先日11月19日、釣り友HDrと探し当てたポイントで一人しか出来ない狭い釣り場、そこに決めてその日を待った。
 旗日の二日前から彼の初釣りのためロッドは長年アメマス釣りに使っているハーディの6番リールもハーディに決め、も一本は予備としてスコットの5番を用意した、ランディングは難しくバラス心配があるので使用せず浅瀬に引上げることにして、リーダー,ティペットは4番、フライは実績のあるオレンジの自作のエッグに決めた、釣り方はルースニング、初心者にはこれが一番容易な釣り方のようだ、心配は比較的大きなインジケーターと錘、これらがキャスティングを難しくして、ライントラブルの元になるのだ。
 天気は晴天但し強風とされている23日,Y君がレガシーツーリングワゴンで迎えに来た、時間は正確、釣り場に向かう途中フライフイッシングの基本を話すやはり心配なのはキャスティングなのだ、私はそれより釣り場を気にしている、良い場所は皆がねらっているのだ、最初の場所は先日の大雨で荒れて駄目、次の場所に向かってひたすら歩く何回も浅瀬を渡渉したりして兎に角急いだ、そして何人かの釣り人を追い越した先遥かに見えたポイントに立つ先行者、うっすらとこの寒い朝に汗ばんだ肌が急に冷えてきた、どうしよう折角のY君に釣らせる事が出来るのか、兎も角釣り場に着いたら二人で座り込みだ、ロッドをつなぎラインをセットして待つことにした。
 先行者はと見るとそのキャスティングの姿といいヒットした魚のネットインリリース、どれをとっても品性と風格がある初老の方か、見ていても実に良い、拝見出来て幸せだと思った。2〜3尾の型の良いアメマスを釣った後、こちらを振り向いて会釈した、私は立ち上がって丁寧にお辞儀を返して、お見事な釣りですと心からの挨拶をした、それからY君を紹介し、今日が初つりで、1尾釣らせてやろうと来ましたと付け加えた、すると彼はここは良いポイントです、さあやんなさい、私は下流に下がりましからと場所を譲ってくれたのである。そう期待していた私は思った通りの紳士だと心から感謝し礼をした。彼は笑みを返して下流へと歩いて行った。有り難い出会いであった。
 風は益々強まっていたが.私はY君をポイントの流れに呼び先ず何処にフライを落とし、インジケーターの流れを自然に保つように出来たらメンディングをしながら流し、インジケーターが少しでも変わった流れ方をしたなら合わせを呉れてやるように教え、又何処まで流れたら再びキャストをするように、先ずは見本をとやって見せた3回目に何とヒット40センチだったが、ついでにフォーセップを使ってのリリースもやって見せた。
 納得したY君が風の合間を見ながらのらのキャストだが、なかなか思ったようには出来ない流す位置がその都度変わる.そればかりか余裕がなくなると風を考えずにキャストして対岸の流木にフライを取られたりティペットを絡ませたりのトラブルの連続となって来た、風がなくともライントラブルは初心の時は誰しも経験するのだが、生憎の天候であるその度に私が使うための一式を渡す、次のトラブルが起きるまでに彼のラインを直す、換えるを何回繰り返したものか、でも遂に待望のヒットがあって無事ランディングに成功、握手をして祝福する事ができた、良かったこの強風の中で本当に良かったと二人で喜び合った。
 2時間ほど経ってから場所を譲って呉れた紳士が現れ、私がY君のヒットを報告し喜んで貰えた.見知らぬ方だが、このような我々の模範になるフライ愛好者地元釧路にいる事は、嬉しいし又我々の誇りでもあると思います。
 今年の秋のアメマスはもう終わりになります、今年は天候のせいもあり、大型には恵まれなかったけれど、やっぱり道東は素晴らしい所です。

2006/09/11

達庵釣り情報


 今年は気まぐれな天候に翻弄されています、いますと言うのは現在もそうなんです。三月から四月にかけて道東の海水面の温度が平年より高いせいで何時もより気温も高く、アメマスが早く降海したり、サクラマスの遡上が多かったりして、釣り人の予想を狂わせたりしました。私はインフルエンザの回復が長引き六月になるまでは釣りは出来ず、もっぱらフライを捲いたりしたりしてい ました。仲間の情報も遠慮しているのかそれとも感染を恐れてかさっぱりありませんでした。
 ですから、六月半ば、例年知床に状況偵察に誘ってくれるDr.Hさんから行きませんかと電話があった時は本当に生き返った気がしました。
 この日天候はまあまあ、少し霧が出てはいましたが、出かけました、途中幾つかの橋があるのですがどの川も増水気味です、でも知床の渓流ならもう平水に戻っていると余り気にはしませんでしたが、この予想はすっかりはずれました、お目当ての川は澄んではいましたがひどく増水し、ごうごうと音をたてて流れていて到底釣りにはなりません。それで諦めきれず別の川の上流に行って見ましたが矢張り増水で駄目でした。
 七月の半ば諦めきれずあの知床の渓流に二度目のチャレンジで、Dr.Hさんからのお誘いがあり、勇躍出かけました、天候は上々です。
 行く先は昨年ヤマメの良型の入れ食いに出会った場所を選びましたが、今年は前方も足元も見えない林の中の藪の道となり、途中蕗採りの業者が掛けたロープをはずなどして進み、釣り場近くの大小石ころだらけの支流に着きました、そこでストップ、それ以上は進めません、やむなく車を降りて支度をしていると車の音が近づきました、蕗採り業者のトラックで す。そして車から二人の男が出てきて、「釣りかい、こんな良い車じゃ壊れちゃうよ」 「まあ、釣れるけど、熊に気をつけろよ」と注意を呉れました。思えば全くその通り、帰り山道まで戻れるか心配するようなところです、無茶と云われても仕方ないですよ。
 釣り場は直ぐ近くです、私は殆んどそこから余り動かずに釣ることにして新しく捲いてきたロイヤルコーチマンで始めることにしました、Hさんが上流に行って独りになるとちょっと熊が心配になります、そりゃあ、幾ら慣れてはいても知床の山の奥ですから ね、リュックにぶら下げた熊除けの鐘の音が余りにも小さく、川の流れに消され心細く鳴っています、そこでホイッスルを吹く、大声を出して見ました、さっきの蕗採りの注意で、何だかすっかり臆病風に罹ってい るらしい自分を感じました。
 五十年も前、釣り場で初めて熊と対面した時、鳥肌が立つなんてものじゃ ない、全身の身の毛が立ったことが思い出された。言葉が通じない動物は矢張り怖いですよ。
 熊避けおやって、やや暫らくして気を落ち着けてからの第一投、フライが何処に着水したか確認する時 間もなくばちゃっとヒット、良型のヤマメが狭いプールを逃げ回り、やがて全身を震わせて私を喜ばしてくれました。幅広の美形でした、有難うとリリース、同じ所で三尾がヒット、その後流石に反応が鈍くなったので、フライをカディスに変更すると今度は小型のヤマメが 飛びつくが、これはまだ鈎には掛からない程度、そこで少し下流に移動すると今度はオショロコマの良型が連続ヒット、良い型をカメラに収めました。ここは大きな石が点在する流れですから、イワナ系の多い場所だと、そこを止めて叉移動することにしました。
 少し下がると去年最高の釣りが出来たポイントに着きました、広さと云い深さもあり、川辺から突き出した枝で振り込みがちょっ難しいが、絶好のポイント、しゃがんでフライを12番のエルクへヤーカディスの新品に交換した、リュックを置いて川べりから一旦離れ、ポイントを下から狙う位置に腰を屈めて近づき、躍る心を押さえて慎重にキャスト、着水したフライが、突き出した枝の下近くに流れて行った瞬間にヒット、凄い引き、大きいぞと場荒れしないように、魚を流心から離そうとロッドで操作はするが、結局はプール一杯を使っての取り込みとなってしまった。魚は寄らないヤマメなのかそれともサクラか去年Dr.Hさんから聞いたサクラの話が頭に浮かぶ、落着こうとするが落着かない、ドラグを緩め岩場の流れに逃げ込まれたらお終いだ、強めればラインブレークは間違い無い、魚の姿は流心の流れの中で黒みがかった背を時折見えるが確定は出来ない。兎も角、背中のランディングネットを
と中腰から立ち上がり、バット部を支えてえいた左手を離し右手だけでロッドを持ち、左手でネットをはずして、用意万端と思った瞬間に事は起った、ラインブレーク、ふっとロッドが軽くなり張りをなくしたラインが足下を流れて行く、しまった、私は全身から力が抜けて行き、よたよたと石の川辺にに膝をついて、頭を下げた、完敗でした。
 それで、私は今日はこれまでと気を取り直して立ち上がりロッドを取り、ラインを捲きとると、リーダーの先、ティペットとのつなぎ目で切れていた。釣り始めて一時間だったが、先には進まず、初めの場所に戻った、勿論上流に釣り上がったHさんは戻っていない、ペットボトルを取り出して水分の補給をした、初夏の陽を一杯に受けて流れの音を聞いていると、さっきの釣り落とした無念の思いは薄れて、これで良いのだ、この歳になって、ここでこんな素晴らしい経験を味わうなんて幸福の限りじゃ無いかと天に感謝の気持ちが湧いて来た。
 一時間程経ってHさんが戻って来た、サクラには遭わなかたがヤマメはまあまあだったとの事、それから、未だ早いのと近くのT川の上流へ移動、私はウエーダーを脱いだが、Hさんは川に降り立ち上流のポイントに姿を消した。名人の彼、執念の彼、きっと満足できる釣りをするだろうと私はひとり微笑んだ。「7月22日」誌す
 今年の天候不順はだ続き、特に土日が悪かったのと近郷の川は工事が多く濁りも取れず仲間達も気合いが入りませんでした、知床の川にはその後大学に入っている二人の孫が帰省したので2回行きました。二人とも満足してくれましたので、私も良かったと思っています。
 仲間との今年の釣り会は近くの川で運良くやれてヤマメ、イワナ、ニジマスなどが釣れました。秋になっても天候不順がつづき渓流釣り出かける事もすくなくなりました。
 先日霧雨の降る近郊の川で今年最後のヤマメを狙って行きましたが写真のような型のヤマメが5尾で終わりました、一時間位の楽しみでした。これからこの地方ははアメマスの時期になります、期待してますのでまた報告させて頂きます。

2006/06/06

 

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           達庵 釣り情報            6月 2006

 3月、例年この時期になると春はもう直ぐそこまで来てるかのよう思われますがそれは 希望的 観測で、四月始めまでは大雪も覚悟しておかないえらい目に会います。でも釣り人たちは待ち切れないので、フライやリールを点検したりウエーディングシューズの手入れをしたり、心だけはもう釣り場に行ってます。
 今年も釣りの情報がそろそろ耳に入ってくる頃 釣り仲間の集まりを予定しておりましたが、それが延期になりました、理由は私が3月始からインフルエンザのしかも高齢者として最も危険な肺炎になったからで、四月になりどうやら回復、釣会が行われ、嬉しいことにその席で88歳のお祝いに美しい塗の渓流用のランディングネットを 頂きました、本当に有難い事でした。
 その後私は5月のゴールデンウイークになりやっと釣りに行く許しを家内から貰いましたが、今年は天候が異常で三月おわりから四月にかけて異常に暖かく、雪が雨となり雪代と重なり川は濁りと増水で釣りにならずそれが治まるまでに大型のアメマスは海に下ってしまったようでした。新聞によれば海水温が2℃ばかり低く、その為に近海を回遊する鮭が少なく、反対にサクラ鱒が例年の5倍も獲れているそうで、そのためサクラ鱒の遡上が多く、それが幸か不幸か何時もよりアメマス釣りのフライやルアーに釣れてしまうと云うことで、北海道ではこれは違反になりますので、掛かってしまったら嬉しくもありますが困惑ものです。早速 リリースしなければなりません。法的にはリリースしても罪と云うことですが、それで捕まったと云う話は聞いていません。今年は釧路川の支流S川では車の駐車に困る位の入り込みだったと云う話も耳にします。あそこはサクラの好む川ですからね。
 5月連休の終わり、私はいつもの釧路川下流に出かけました、ウーリーバガータイプのフライで35cm位のアメマスが元気に5番ロッドを撓らせて呉れました。添付の写真がそれです。足元には鮭の稚魚が群れ 、水草もいつもの様で遅い春を楽しみました。残念ながら大型のアメマスとのお遊びはお預け、秋までの延期です。
 この日、顔見知りの釣り人Nさんが30メートル程上流でフライを投げていましたが、いつの間にかかったのかネットに入れた45p位のサクラを見せにやって来ました、彼は良い思いをして呉れましたとリリースしましたが、私にはその日も次の日もサクラ の当たりはありませんでした。今年の春の釧路近郊のアメマスの釣り場は何処も増水と濁りが続いていて本流は駄目です、こんなに長く濁りが取れないのは工事のせいもありますが、何より季節はずれの大雨による増水で岸が崩れて新しい土砂が露出しているからだと思われます。私にとっては余り遠出は無理ですから困った現象です。まあこれからは渓流釣りの時期になります、この地方は7月がヤマメの解禁ですからもう 直ぐです、去年は釣り友と遠出をして良い思いをさせて頂いたので今年もと期待しています。
 釧路と云えば阿寒湖、阿寒川、屈斜路湖などの有名な釣り場があり、これからが一番良い時期ですが、釣りのツアーが盛んになってから昔のようにのんびりした釣りが出来ず最近は行ってませんが、職場の若い釣り人達の報告では湖が余りにも広いのでポイントをはずれると釣れないとのことで余り良い話はありません、出来れば地元のプロの案内を受けた方が宜しいのではないかと思います。

釣り短歌                  達庵

ひとときは熊との出会いで盛り上がる皆元気だ釣り会の夜

アメマスの情報しきり今少し待てよと自重毛ばり捲きおり

風強き川辺に釣り人一人おり釣れぬと厳しき顔で答えぬ

鮭の稚魚群れて流れる川霧の岸辺に釣り人あちらこちらに

ばしゃばしゃと暴れる水音霧の中竿に伝わるアメマスの引き

この春も釣りが出来たと感謝すろ二ヶ月まえの病思えば

 

2006/02/13

  今年の冬は思ったより寒く今朝などは−20℃で流石に寒さで目覚めた位でしたが少しず温かい日もあって、春は近いと仲間の釣り人達は準備中です。
 私は出番がなかったフライを解体して、フックの針先を研ぎ、捲き直しをしたりロッドをつないで素振りをしたり、去年の短歌から釣りの歌を選んだりして楽しんで居ます。近く職場の釣り会で披露するつもりです。
  歌としては稚拙ですが釣り人には同感して下さるものがあろうと思っていますので御笑覧下さい。

     短歌  達庵歌日記より        達庵

大雪も春近ければ苦にならぬ今年の釣りで盛り上がる宵

集まれば同じ話の繰り返しそれが楽しい聞くも話すも

若きらの釣りの話で時が過ぎ終われば外は激しい吹雪

弟子からの釣りの情報嬉しいが一本指の返信大変

タイイング終了証を手渡せりこの若者が最後の弟子か

夕方の川辺を行けば餌さ釣りの老人の姿つい立ち止まる

今年又元気で来たよと竿を振る新緑眩しい里川の谷

イワナ釣る向こうで妻が山菜を摘んでる構図有難きかな

柔らかな流れに毛ばりを打ち込めばキラッと光るイワナの姿

ぐいぐいとラインを通してヒットしたイワナの動きが春を伝える

ぴかぴかのイワナの肌が知らせてる今渓流に春来たれるを

この川の匂いが好きと云いくれし釣友に頷く春の渓流

釣れないがリハビリになると渓流をく熊よけの鈴鳴らして歩く

静寂な谷にこだまし熊よけの鈴の音涼しつり人二人 

阿寒湖も異常気象の中にあり虫の成長10日遅れと

待ちきれぬ釣り人一人黙々とロッドを振りおり波立つ湖面に

良型のヤマメの入れ食い何ゆえか一期一会の恵みを受ける

釣友も興奮気味で語るなり良型ヤマメの入れ食いの事

若きらと渓流釣に興じたり夢中になりて虫にも刺され

唇が虫に刺されて腫れ上がるそれも嬉しい知床の釣

今日昨日眩暈が止らぬ何故だろうブユに刺された毒の為かも

今朝早く毛ばりを結ぶ手がしばれ気がつき測れば−2℃さ

この谷のイワナと付き合い五十年有難いなと頭を下げる

ヒグマなど何処にもいるさと嘯けど遭うのは厭だ絶対厭だ

釣り友が熊に追われたいきさつを妻と聞いてる秋の夕暮れ

熊の報やけに目に付く今年こそ熊除けスプレー買ってと妻が

アメマスの引きは今年も強いぞと夜明け直後の川べりに立つ

晩秋の川辺に薄く靄が立ち魚の波紋静かに広がる

厳冬の川で転倒ネオプレーンウエーダーの威力確しかむ結果

厳寒の川で転んで少しだが流れた体験なぜか嬉しい

静まれる川の曲がれるあの辺り大型のマス潜んでいるらし

静寂の夜明けの川にアメマスの暴れる水音突然響く

釣れないと見てか自作のフライ呉れニヤっと無言で名人立ち去る

名人が呉れたフライで直ぐヒットやっぱりなあと感心しきり

燻製をやってみたいと云う友に二日掛りで腕を振るった

 

今年の最終です
  達庵釣り情報   2005 12 18

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 12月に入りますともう釧路は冬です、阿寒の山並みは真っ白に輝いています、しかし例年のように海岸近くの平地には雪はありません、唯、気温が低く、日陰は一日中寒さむくで、身も凍るような感じです。更にこの時期は北西の強い風が吹きますので、寒さは一段と強いです。
 しかし、それにも拘らず釣り人は出掛けます、大物のアメマス狙いの釣りです。
 11月の26日に仲間4人、いつものポイントでそれぞれまあまあのサイズがヒットその内の4尾と名人S君がゲットした60pの大物を川から頂いてクリスマス用の薫製を作りました。これは毎年この時期の恒例の仕事で、職場の釣りの納会の肴にもするのです。
 さて、今年はA君が薫製を是非覚えたいと云う願いで、A君宅に出向き、御両親も加わり、実習を兼ねての作業になりましたが、何とか無事に薫製は出来上がりました、しかし、まだ私には今年を締めくくる最後の大物のヒットがありません、これでは年は越せないぞと、もう一回、最後の釣りを試みる事にしました。
 12月3日、前の晩にメールで打ち合わせ、名人が早めに行くので、少し遅れても良いとの事で朝七時半、A君の車で家を出ました。寒い朝です、下着の3ケ所に使い捨てのカイロを張り付け、白金懐炉を凍える指先を温める為にポケットに用意しました。
 通い馴れた路を約一時間車が釣り場近くを通りますと川が見えます、するとA君が車を留め先行のS名人がいるよと車を降りて行きました。
 車に戻って来たA君の話では、名人はいつものポイントには先行の車が2台あったので止むなくここでやっている、まあ、型は良くないが数はでるとの事でした。
 それで「どうする?ここで降りますか」と云うのです。私はまずい事になったなあ、でも今日は大物狙いなんだ、やっぱり実績のあるいつものポイントが良いと思い、「いや、兎も角行って見よう、二人ぐらい先行者がいても、良いじゃないか」と返事をして車を出すように促しました。
 目的のポイント近くに着きますとなる程先行の車がニ台あります、一台は釧路ナンバーですが、後の一台は札幌ナンバーです、ポイントに先行者が入っているかどうか、A君が早速ごろごろ石の河原を歩いてみに行きました、ポイントが見えるカーブまで行ったA君が頭の上に両手で大きな丸印、大丈夫だと云う合図です、良かった、急いで5ミリ厚のウエーダーに防寒の上衣ベストなどを着てリュックを背に出掛けました。少し行くと右手の川べりにルアーマンが一人やっています、先行の一人なんでしょうか、私達の狙うポイントには誰もいません、これじゃあ、二人でゆっくり楽しめるぞと膝迄の流れを渡ります、水流は少し強いけれどA君が手を引いて無事に通過、崖下の川辺りの氷りを踏み割ってそろそろ歩きでポイント中洲に出ました。此の辺り一日中日陰でしっかり凍りついて寒いです、体は懐炉で温かいですが顔と手は冷たく直ぐにもかじかんで来そうです。
 「先にやってい良いよ」A君に声をかけ私はゆっくり愛用のスコット5番のロッドをケースから取り出し、ラインを取り付けます、充分気を付けていてもガイドを一つ飛ばしていて、後からどうも上手くキャスティングが出来ずやり直しをしなければならない羽目に悔やむ事があります。そんな作業をしているだけで冷えた指先の動きが悪く、フライが上手く結べるだろうかと心配になります。何とか自製の変型エッグを結び、インジケーターを付け準備完了、立ち上がると、A君のロッドが丸くなってヒットです。
「良い型でしょう」と声をかけると、「いや、大した事ないですよ」とそれでも満足げな返事です。
さあ、今日最初のキャスティング、充分手入れして来たラインが飛び、思う流れにフライを落としました、インジケーターが小さな波に揺れ乍ら流れて行く、そして一瞬、波に隠れて見えなくなったと思ったがそうでないヒットだった。一投げ目からのヒット思わず顔が綻ぶ、フライマンの至福の笑顔です。まあまあの型、見ていたのかと少し上流のA君に顔を向けると笑顔が返って来た、彼は元弟子だが、若者は上達が速いのでもういっぱしのフライマンだ。
 二人で楽しんでいるとA君の親友のD君がやってきて仲間になった。私はリュックから熱いコーヒーを取り出し、二人に御馳走、寒い中での一杯のコーヒーは本当に生き返る感じがするもんです。元気になってまた釣り始めるとD君の近くで私は連続ヒット、それでD君に場所を譲り、ヒットしたフライも進呈、彼もヒット、良かったと私はA君の少し上流に移る、ここは大きなカーブが広がる良いポイント、勿論大物のあがった実績がある、6番の緑の「岩井シュリンプもどき」にフライを替えて大物を狙う事にした。一投目に当たりを感じたがヒットなく、ニ投目にはっきりインジケーターが沈んでヒット、瞬間これは大物、ぐっと底で首を振って動かない、60pを越えているのか、慎重に慎重にと自分自身に云い聞かせ乍らアメマスが動く迄待つ、動いたら占めたもの、4Xのティペットという事を忘れずに、無理はせず魚が弱る迄ラインを操作して、少しずつ近づける、急に深みに反転するので、気を抜く事は出来ない、何度かの遣り取りを見ていたD君が「大きいですね」と声を掛けてくれた。
 「カメラを頼むよ、リュックの中にある」とD君に頼む、その後、魚は大分エネルギーを使ったのか、近づいて来た、背中のネットを取り、頭から見事のネットイン、60pを越えた風格のある立派な雄のアメマスでした。「これで年が越せますよと」、記念撮影をして貰いリリース、今年の釣りを終了しました。そこで、同じフライをD君に進呈、見ていると彼も私のあとに立ち、直ぐに良型を上げたので、カメラに納めてあげた、その後、名人のS君と友人がやって来て場所を交代、先行の私達は釣り場を後にした、三人とも良い釣りが出来た、そして「釧路は良い所だなあ」と口を揃えて納得した。これで今年の釧路からの釣りの話を終わります、皆さんお元気で、来年も良い釣りが出来ますように。

達庵

2005/11/12

アメマスの釣り情報です

釣り情報  2005/11/12

 今年の秋はそちらも同じでしょうが例年より10日位遅れていますので、アママスの産卵もだらだらで、従って産卵後の荒食いをねらっての釣りも、何かはっきりせずにただ月日丈が過ぎています。先月下旬寒冷前線が此の地方を通過して一時冬到来を思わせましたが、たった一日で終り又暖かになってしまいました。その寒さが来た朝、釣り場は外気温零下3度、水温4度、川べりは凍っている、そして僅かに水面が靄っていましたが、防寒十分の装備でロッドをつなぎ、はやる心を押さえてガイドにラインを通し、先ずは緑鮮やかな岩井シュリンプのフライ、自作で本物には及びませんが、慎重に4Xのにティペットに結び、ルースニングでポイントにプレゼント、冷たい風が些か興奮気味の頬を冷やして呉れました。
 水量は昨夜のの雨で少しは増えているが、濁りはない、条件は揃っているので慌てる事はないぞと落着いてのキャストだった。インジケーターはほんの目印、フライが川底を自然に流れるようにウエイトはやや重めに調整してある。
 一投目が一番期待出来るので、インジケーターがポイントを通過するのを、固唾を飲み込み息をとめてフライが今流れていると思われる筋を見つめたが、反応はなかった、何だ、どうしてだと少し気落ちし乍らのニ投目、それも反応無し、三投目はラインが思うように飛ばない、見るとガイドが凍っているじゃあないか、今シーズン始めての事だ、いつものようにロッドを水の中に入れて氷を溶かし、ロッドを上げて水を切る、でないとつぎのキャスト出来ないのだ。
 気を取り直してキャストを繰り返していると目の前で渦を捲いてアメマスのライズ、少しは食い気が出て来たのかとフライを定番の村上スペシャルに変更すると、突然インジケーターが横に引かれた、ヒット、ぐいぐいとアメマスが頭を振って深みに突っ走る、両手でロッドを抱えるように持って堪えた、やったー、とここで一安心、嬉しさがぐんぐんこみ上げて来る、誰か見ている人はと見回したが誰もいない、魚は上流へ、下流へと 元気だ50pは越えているのだろう、引きの強さがそれを教えて呉れている、やがて魚は岸近くによって来た、これからが大事だ、とくに応援がない時は片手にロッド、片手にネットを使わねばならない。アメマスはここ一番の力を発揮して逃れようとするから、やり取りが難しいのだ。
 念を入れて魚が疲れる迄待つ、信頼出来るティペットとフックがものを云う場面だ、最後の一暴れでティペットブレイクにも泣いた、フックが伸びたり、折れたりする事もある、しかし今日はその心配はない、充分点検してあるのだ。
 川べりが砂や小砂利の場合では力尽き横になった魚を一気にずりあげる手もあるが、今日はネットの場所だから、なおさら慎重に待った。そしてようやくネットインに成功、50p半ばの良型だった。
 しかし、その後の当たりがない、日が照って浅い川底が丸見えになった
もう少し雨が欲しい所だ、少し下流に下がって、ロングリーダ、ロングティペットに変更して、立て膝でキャストする、日ごろ余りやらないので上手くは行かない、余り何度もラインを投げると魚は警戒するので、ぎりぎりの所で我慢、それでもそれが良かったのか40pそこそこがヒットしたが、それで終わり、一寸もの足りなかったが、3時間で次のチャンスを狙って、帰宅した。翌日職場の名人S君に報告したら、もっと下流の大きな石が川底に散在している所に魚が集まっているんで今度一緒に行って教えて呉れると有り難い話をしてくれました。

  10月29日  曇り
 職場のA君と0500まだ暗いうちに出発、釣り場に向かう日の出は0600位だから対向車も少ない。若者の車は流石に速い、釣り場に着くと、先行の名人とルアーマンの若者O君がやっと明るくなって来た釣り場でロッドを振っている、O君は今日、フライの入門で名人から指導を受けるのだそうだ。名人はもう幾つかヒットありということで、あせりもあったのか、いつものポイントでどうもキャスティングが上手く行かない、
 ガイドがが凍っているわけでもない、更に続けているとリーダーがロッドにまつわり、こんがらがってしまった、ライントラブル、一番大事な時間にと恥ずかしいやら、情けないやらのひととき、ティペットのもつれた所を切り取りラインシステムを整えてふと見ると、ガイドが一つラインが通されてなく遊んでいるではないか、何だ、これが全ての原因だったんだ、と安心したが、これでは、まったく入門者を前に、悪い見本を見せての一幕でした。
 気を取り直してポイントにキャスト、一投目でヒット結構良い引きだったアメマス、45pくらいかな、皆が見ているの顔の前でしたのは何とでっぷり太ったウグイ、一瞬緊張がほぐれ苦笑した。次のヒットも又ウグイ川口ならいざ知らず、こんな上流のアメマスの住処にウグイ、こんなの初めての経験、振り向くと、どうだ入門のO君のロッドが弓なりになって良型のアメマスをネットイン、すっかり今日はこっちが初心者になってるようだ。記念写真をとってやった。
 私の姿か見るに見兼ねてか、名人が手招きで私を呼びポイントを教えてくれ、も少しエッグのサイズを落としたら良いと自ら取り替えてくれた。ますます初心者にされたが、これは良い勉強だ、教えられた水底の大きな石の間に上手くキャスト出来た。いつもより真剣にインジケーターの少しの異常も逃さないぞと目で追っていると何かおかし動き、すかさず合わせをくれるとヒットだ、50pそこそこだが、坊主を免れた。 
 流れを良く見る、フライのサイズを変えるなど当たり前のことなんだけど現場でついおろそかになっている、名人はやっぱり基本を守ってるんだと改めて感心、昼頃名人に挨拶して終了した。
  
  11月6日  晴れ
 釣り友のH先生に誘われて、川を変えてお供した
釧路から一時間少しで釣り場に着く、今年は熊の出没が多く、農家の人がやられたり、釣り人が追っかけられたりしてるので、一人は危険だし状況を知る事も大事だ。この川も熊の話は毎年聞かされているから、充分用心しての事だ、水量が少ないが深みに付いているそうだ、川を遡ると崖の下に良いプール、狭いので交代で釣ると先生が説明、先ず先生が模範を示すなる程一投目からヒット倒木の枝が伸びていてポイントに流すのが、慣れる迄は難しいが上手く流れた時はヒットする、
 場所を騒がせないように下流に誘導してネットインだが、遊ばせる所が狭いからなかなか魚は弱らない、60p前後だとネットインサポートが必要になる。二人で交代して、休み休みだが、何としても引きが強く両手の握力が限界となり、私は昼近くになり右手の中、薬と二本の指が痙攣を起こした、懐炉で温めマッサージで治ったがこんな経験は始めてであった。 
 二人とも良型で記念撮影、私は止めてH先生だけが続行、見学、午後3時終了て車に戻る途中、まだ遅れて産卵中のアメマスを見た、今年は異常に温かいからかも知れない。それにしても今日は正に入れ食いだった、今年夏の知床で良型ヤマメの入れ食いもあり春と中間は悪かったが、思い出すと良い年だったんだと二人で満足した一日でした、
 今日のフライは、村上スペシャル、自作エッグもどき、市販のエッグでした。リーダーは4X,3X,ティペット同じ、先生は2Xも使用したとのこと、ラインブレーク、フックの伸びなどのトラブルもありました。今後一ヶ月、川が凍る迄、皆元気で通うわけで、釧路に住んでいる幸福をいつも味わい感謝して、いつまでも続くように協力も惜しまないつもりです。

2005/08/24

 こちらはもう秋の気候になりました
釣り情報です。A君のニジマスと私の釣ったヤマメ、オショロコマです

クリックで大きい写真

 
達庵釣り情報     05、8,24

  お盆が過ぎて釧路はもう秋となりました、今年の夏日は4日だけで我が家の扇風機の出番は3日でした。6月いっぱいは近くの川の上流でイワナを狙っての釣りでしたが、勿論ヤマメも釣れてしまいます、この地方でのヤマメの解禁は7月からですから、違反となります、フライフィ一シャーはリリースが徹底していますから、実害は少ないですが、餌釣りは持ち帰りが普通ですから、これはいけません。特に大型ばかりをこの時期に抜いていくのは許せません。
 イワナは今年海に下るアメマスの30cm位の元気の良いのが掛かりますので楽しめます。この時期は降海するマスの子もフライに飛びつきますが、これも禁漁です。

 この時期、私はフェザントテールニンフの12〜10番をアウトリガー風でアメマス釣りを楽しみますが、ルースニングでも良いです。まだ羽化している虫がいませんから、ドライは食いが悪いようです。
 7月やっと初夏の様子になり、釧路はまだ早いので内陸の阿寒川、釧路川にヤマメを狙って出かけます、今年は仲間と知床まで遠出をしました。流石に新緑の渓流はすがすがしく、虫も飛び交い。カディスの12番、ダンパラの14番などで気持ちよい釣りが出来ました、ここではヤマメとオショロコマです。

 今年は、例年に較べ、週末の天候が悪く、それに仕事も忙しく、えっ、仕事?そうですよ 仕事もちゃんとやってますよ、それで釣りに出かける回数が減りましたが、7月中過ぎに はもう付近の川口では遡上前の海アメマスが見られたと新聞の釣り情報でも報じられ、 いささか慌てざるを得ませんでした。
 下旬、職場の名人S君の案内で近くの川の上流でニ ジマスを狙って出かけました、ポイントのいくつかにキャスティング、フライはカディスの8 番、しかし、30cmに満たないのしか掛からない、暑さもあり、いささかばてぎみで、最後のポイントに賭けたが 私のフライには反応せず、それではと投げた名人に40cmオーバーがヒットし、脱帽しまし た。そんなもんです。

 7月終わりの日曜日、釣友のHDr、と道東の某川中流に出かけ、私はカディス10番、彼 はダンパラの14番、毎年訪れる川ですが、今年の釣り場の雰囲気は釣れそうな気配、熊よけの笛を鳴らし、良く 響く鐘を下げ、万全の準備で川岸に立ち、第一投から良型のヤマメが釣れ、狙い通りと、彼は上 流、私は下流に別れての釣りを始めた。、流石に一箇所で1尾の割合だがポイント毎に 15cm〜20cm、中には26cmも出た、よく観察すると混棲の場所もあるが、ヤマメとオショ ロコマの微妙な棲み分けもあり面白かった。全く人の踏み後が無い所だからこんな釣 りも出来るんだと、嬉しかったし自然を大切にしなければと心から思った。
 2〜3日前からの膝の痛みも釣りを始めてから治 っていたが、別れた場所から200m位下がった所でゆっくり休憩して、水分を補充し、今日の釣りを感謝し、再び上流に向け て釣りあがる事にした。流石に先程釣れたポイントではフライを替えても新子のみで、良型の反応はなく、釣り残したポイントで幾つかの釣りを楽しんだ。
 最初釣り始めてから約2時間、別れた所に着いて間もなく、HDrも戻って来て、やや興奮気味で「上流のプールでサクラマスを掛けた、今日はヤマメの入れ食いだった」と大満足だった、そして「こんな事って滅多に無いよ、きっとサクラに付いているんだ」と付け加えた。

8月に入り釣会年一度のヤマベの天ぷらを食べる会を開催、近くの川の支流に6名が集まり、男ばかりだったが、結構うまく作れて、美味しく味わった。但し、川では虻が群がって来るので、釣り場から3キロばかり離れた知り合いの庭をお借りして十分楽しんだ。 
 盆過ぎ、弟子のA君が湖でフローターを使い大型ニジマスを釣ったとの報告あり、さもあり なんと名人に聞くと名人はもう数回、その度に良い釣りをしているそうで、やってみたい気 もあるが、渓流釣りもまだこれからだし、そのうちアメマスの遡上が始まるんだし、選択に 迷ってしいます。アメマスの釣りはまた報告させていただきますが、今回はこれで終わり と致します。
 今電話で、もう一度あそこに行きませんかと、HDr、からの嬉しいお誘い、さてどうしましょうか。
 


2005/07/28


達庵釣り情報  道東の夏 
        達庵釣り情報  道東の夏
 
 今年の春のアメマスは例年になく低調で淋しかったですが、期待していた7月のヤマメの解禁も天候不順だったり、仕事が忙しかったりして、え?本当にまだ釣り三昧の身じゃ無いんですよ、ちゃんと毎日出勤して仕事をしてますよ。今年はまだいつものような大型のヤマメには会っていません。
 6月中旬から下旬にかけて、解禁前の試し釣りに近くの川に行きましたが、例年禁漁中に大型は釣られて持ち帰られて残りが少しはいる筈ですが、顔も見せてくれませんでした、相変わらずイワナの20センチくらいが良くヒットしましたが、今年はこちらでは銀毛と云って、海に下がるマスの子が、フライを追ってヒットするんです、勿論全てリリースですが、いつもより遅れているようでした。7月に入ると釣れ盛ったイワナ達、アメマスの子ですが海に下がり、川は小型のイワナと、釣れ残った僅かなヤマメのみになってしまいます。
 そうなりますと元気な野生のニジマスがターゲットとして私達を楽しませてくれます。流石に大型にはなかなか出会いませんが30センチ前後なら結構面白い相手になります。餌釣りの人はどうも持ち帰りが多いので、数はだんだん減りつつありますが、今回は職場の名人の案内で行って来ました。
 朝0630発、近郊の川の上流を目指して林道を走る事1時間、釣り場に到着鬱蒼とした自然林の中を流れる渓流です、羆よけの鐘を腰につけ、子供が最近身に付けている救急信号のボタンをやたら押してのポイントに向かいました。
 案内の名人はいざと云う時のスプレーを腰に付けています。しかし警戒は初めだけで、釣りが始まったら腰の鐘が適当に鳴っているだけで、心配ないのです。
 マナーの悪い山菜採りや釣り人がジュースの缶や、食べ物の残り等を捨てて行くので羆が人間の食べ物に執心するようになって、人間を怖がらなくなったとも云われています、自由を履き違えた釣り人の勝手な行動は許せませんね。鐘を鳴らしたら反対に熊がやって来るかもと心配にもなります。
 さあ絶好のポイントです、カディスの10番を4Xチペットに結び身をこごめてのキャスティング、フライはポイント近くに落ち流れます、フライが流れ、ここ迄とロッドを上げ、次のキャスティングに移ろうとした時、流れの中で銀色の魚体がキラッと光りました。見ていた名人が声を殺し乍らもアッと叫びました。心臓が痛いほどの動悸を深呼吸で鎮め、再びポイントにフライを投げるといきなりフライをひったくるような強烈なヒット、魚は流れを上ったり下ったりそして華麗なジャンプ ニジマスのファイトは素晴らしい、これが釣り人を引き付けるのだと何時も思うのです。
 名人によれば二回迄は出て来るが、失敗したらもう出ないとのこと、さもありなんと納得しました。場所を変えて挑戦この日5回出て来てランディングは2尾のみで、中でもジャンプ迄して逃したのは大きかった、うん、その通り?終わり頃、私がやって出なかったポイントで、名人は私の目の前で40センチ近くのをヒットさせて、ニヤッと笑った、誠に憎いが実力の差と納得。3時間ばかりの釣りだったが、充分満足した名人に感謝して帰宅。
 帰宅していつものようにバンブ−ロッド、リール、ラインの手入れ、ティペットを付け替えて次回に備えていると、今度は別の釣友、HDr.からの電話で、明日遠出してヤマメをとの誘いだった、二つ返事で承諾、彼は毎年何回もお伴させて貰っている名人で、ヤマメの良型を狙ってとの話だ、未だ釣り情報に載せるほど釣果がないので、もしかしたらの希望もあっての事でした。
 朝7時発釣り場は道東の某川釧路から2時間半の所、一足遅れで既に先行者あり止む無く、中流を狙い、薮の中を車で走る、微かについている轍の跡は、蕗採り業者の車のものか、心配しながらもやっと川辺近くに車は止った。
 彼はいつものように、ダンパラシュート、何番と尋ねると14番だと答える。小さいなと、私はカディスの12番を結んだ。この川には約40年前から毎年2〜3回は来るのだが暴れ川だから、毎年のように流れも変わり、ポイントも変わる、今年も丸で初めての川に来たような感じだ。
HDr.先ず流れのポイントにフライを落とした、すると彼の柔いロッドが満月を描き早くもヒット「居るよ、ヤマメだ」見ると幅広の結構な型だ、安心して彼の下流にカディス12番を落とすと直ぐにヒット、これもヤマメ、普段ならオショロコマが先ず顔をみせるのに何で?とフライを又投げると今度は20cmに届く幅広の良型がかかった、HDr.に顔を向けると矢張りヤマメだよと喜んでいる。
 実は1年に1回無い年もあるが職場のドクターであり、芸術家でもあるK先生の晩酌の為に差し上げる良型のヤマメをゲットしようと、幅広の良型をHDr.にも依頼した。彼もよく知っている先生だから、快く承知して上流へと釣り乍ら上って行った。
 私は年寄りの分を守り、無理はしない、目の前30m位の範囲で十分なのだ。休み休みだが、それでも飽きる事無くヒット、15cmオーバーを少しキープして後はリリース、2時間が経ちHDr.が良型をキープして戻って来た。
 彼の話ではヤマメを狙らいで上流もヤマメが多く、オショロコマは少なかった、それに40cm位のサクラマスがヒットしたが、ランディングに失敗、当然リリースもんだが、残念だったと興奮覚めやらぬ表情を見せた。
 昨日に続き今日は滅多に無い良型ヤマメの入れ食い、丸で盆と正月がいっぺんに来たような思いで、これはお知らせしなければと記事を書いた次第です
 多分サクラマスを迎えて産卵に関係のあるヤマメの雄共が集まっていたからだと思います。こんな経験は地元にいてもそう経験する光景ではありません、幸運でした。
これから8月一杯はこんな調子で過ごし、9月からはアメマスのシーズンが始まり道東に住んでいる喜びを十分味わえるんです。写真添付して置きました。



2005/05/11


達庵釣り情報   釧路の春                  

達庵

 釧路にも春が来ました、今年は異常気象で3月終わり頃から温かい日があり、今年は早く春になるのかと思われましたが、その後再び冬に戻り四月一杯は一部を除き釣りにはなりませんでした。その一部とは釧路地方にある多くの川の河口の事で、雪しろがでる前に川で越冬したアメマスが海に降るのを釣るんで、まだ魚体が痩せているのが大半ですから、私は出掛けませんけど、雪しろが治まる四月下旬からは魚も元気で栄養も日増しについて釣りのターゲットとして充分の状態になるのを待っていたわけです。しかし、今年は異常気象で魚の行動がまちまちになり、早くから好い情報が飛込んだと思うと全く駄目だったりしてゴールデンウイークになってしまいました。
 そんな訳で未だにはっきりしません、3日前には雪がふったりしています、たまに釣れても型は小さく、もう殆どが降海してしまったのかと、皆が云うので、いや、まだいる筈だと反論しても証拠が無いと駄目で、11日仕事が休みだったので、釧路川に出掛けました。
 天候は晴れ時々曇り、西南の風3メートル、気温3℃水温5℃薄濁り、釣り人、先着6人ばかりルアーが多い、8呎半の6番のロッド、シンキングラインのタイプ4、リーダー、ティペット3X で、フライは私の尊敬する村上名人のオリジナルストリーマを使っての釣りです。
 岸辺を上流に進み川を覗くと鮭の稚魚が群れている、四月終わり頃から見ると大分少ないようだ。川の流れに乱れがあり、川底の変化が窺われる、こんな所は見逃せないポイントだ、風が時折強くキャスティングが6番ロッドでは少し投げずらいが、今年新調したラインは細く重く投げ易い。
 3〜4回目、ラインがターンオーバーして岸から約10メートルくらいの所でヒット、結構好い引きだったが、30cmくらいのアメマスだった。
 まあ良しとリリースして続けると今度は岸から2メートル先でもうフライを上げようと思っていた時にバチャッと大きな音を立てヒット強い引きだが、アメマスとは違う、重い引きで強い6番ロッドがUの字になる、これは大型のウグイだ。背中のランディングネットを取りランディング、ウグイは、この地方ではターゲットとは認めないが、中々のファイトで、私は好きだ。この時期は産卵の為海から遡上して来るのでアメマス釣りによくかかります。ここは場荒れがしたので少し下流に下がり以前にもよく釣れたポイントに移る、此処の第1投目でいきなりヒット久し振りの強い引き 暫くその引きを楽しむ、中々寄らない、しかし大物用に3Xのティペットを使っているから安心だ。もうこれが上がれば今日は充分と落着いてネットにおさめる、40cmを越えたまあまあの型、これが釧路の春の使者だ とカメラに納めて、釣れないと半泣きの友に励ましのメールを送りました。
  未だ暫くは楽しめる釧路の釣りです。写真添付しました。それでは又。

 

 

2005/03/07

 今年の冬は暖冬の予報でしたが、結構雪も降り、最低気温もマイナス15℃前後の日が多くありましたが、日中は比較的に温かく、除雪も進み国道の雪も殆ど無く過ごし易い年の様です。釧路川の全面結氷もありましたが、今頃は一部結氷で、間もなく解けてしまうでしょう。マイナス15℃になりますと添付の写真のように川からの霧が出て、これは海岸では海からの霧でとても幻想的な景色となります。釧路ではこの霧を「けあらし」と云います。暖かになりますと釧路の沖では、暖流と寒流の関係で同じように霧が発生します、この海霧を釧路では「ガス」と呼んで航海の邪魔にもなり、風で陸地に流れて来ると交通の障害となり、事故もしばしば起きます。また気温が低くなり日照も減り。作物には大敵です。「ガス」は8月中旬迄あり、ガスが出なくなると、もう秋となるのです。
 低温はマス類の適温ですから釣り人にとっては嬉しくもあるのです。
 三月もう釣り具店ではアメマスの釣り大会の宣伝をしていますし、待切れずにまだ薄氷の張っている内から出掛けたりもします。 私共の仲間はこの11日に釣りの集まりを開いたり、寒い内からキャスティングの練習をしたり、毎年のように一月から毎週フライのタイイングの講習をしたりして、春を待っていたのです。
 私は今年87才になりましたから、危険な釣りは控えていますので、四月中旬すぎでないと出掛けません、添付の釧路川の橋の上下が毎春、秋のアメマスの釣り場です
もう少しお待ち下さい。 


 釣りの短歌をおくります。

           短歌                 達庵

      雪止んで鎮まる朝の湖に腰迄浸かり竿を振る人
      一面の氷に狭き水面あり毛ばりを投げればアメマス躍る
      ヒットしたアママス氷上を滑らして手許に寄せれば冷たき魚体
      アママスを氷りの上で写真撮り元気で居ろよと声かけ放す
      凍てつきし岸辺は危しアメマスの釣果は聞けど自重する朝
      霧深く氷の厚さに阻まれてすごすご帰る釣り吉二人
      ようやくに春の気配のする朝に古きリールの手入れを始む  
      少年のごとく心ときめきて着きしリールの包みを開ける
      タイイング講習終わる若者に終了証書を微笑み渡す
      タイイング終了証書を手渡せりこの若者が最後の弟子か

2004/11/20   達庵釣り情報、6


 あっという間に秋が過ぎ、こちらはもう初冬の風景に変わりました。休日毎に楽しませてくれたアメマス釣りも、もう終わりに近づいています。産卵中に釣るのは控えているので、ごく短い釣りの期間です、でもこれは、高齢の私が控えているだけで、元気な連中はガイドの凍結に悩まされながら、凍った川辺リを足で割ってでも出かけるのです、いつかの私のように。
 私は「そろそろ終わりにしようと思うんだが、まだ大物が釣れて無いんだ明日は、どうしましょうと云うぐらいのを絶対つるぞ」と弟子のN君にメールを出しました。彼は前回釣って、生意気にも、これで年越しが出来るとメールを寄越しているのです。
 11月下旬は冬の始まりで寒さが身に厳しいです、朝5時起床20分で身支度を整え、玄関に昨夜から用意してあるリュックとロッドを持って車に向かう、防寒は十分してあるが、冷たい風が顔を撫で思わず身震いがした。
 まだ暗い、三日月が綺麗だ。雪も雨も無かったので道路の凍結がないから運転は楽だ、1時間で釣り場に着く、既にN君の車が見えた、近づいてボンネットに手をやるとまだ温かい、来たばかりだろう。早速5ミリ厚のウエーダーを履きポイントに向かうと、N君がキャスティングをしている姿がみえた、今年は水が少ないので徒渉は楽でした。
 「どう?調子は」と声を掛けると「2本ヒット」と笑顔が返った、私はさもありなんと頷き乍ら無言でロッドをつなぎラインをセットした。
 今日は宣言通りの大型を釣りたい、年越し出来るような、そんな思いが一瞬よぎったが、直ぐに消えた。
 私は「50cm以上が出たら1尾だけキープするんだ、年越し用の薫製にするから」と彼に伝えて川辺リに立った。
 気温ー4℃、水温3℃、西風微風と云う気象条件、もう少し風が欲しい、水が少なくやっと明るくなったばかりだが、川底がまる見えだ、魚に気付かれないように腰を屈めてキャスティング、1投、2投、反応が無い、N君が大分苦労してランディングしたばかりだから、場荒れしている、少し間を置いた方が良いと静かに立ち上がって下流に移動した、そこでの2投目、期待通りにインジケーターが流心に向けて引っ込まれた。ヒットだとすかさず合わせを呉れるとロッドは弓なりになったが動きが全く無い、あれ?根がかリかとロッドを2〜3回あおると、ググっというアメマス特有の感触がロッド持つ手に伝わって来た、これがヒットの信号、思わず、にやっとする、慎重に取り込む、川底の魚は見えないが結構な型のようだ、N君が駆けて来て様子を見ている、私は「カメラだ」と鞄の中から取りだして彼に渡す、ランディング出来たのは思ったより小さいが、それでも50cmを越していた。
 「まあ良い、これをゲットしよう」私はこう云って魚を押し頂き、腰を降ろして、一休み、サンドイッチと牛乳で朝食をとリ始め、N君は上流のポイントに移った。
 いつもなら、魔法瓶からの熱いコーヒーで体を温めるのだが、今朝はその魔法瓶を忘れて来たので、冷たい牛乳で我慢した。じっとしていると矢張り寒さが手を伝わって染込んで来る、私は立ち上がって下流に移りロッドを振る事にした、ここの場所は暫く休ませた方がよいと判断したのだ、下流では当たりが殆ど無かった、おそらく水量の不足が原因と思えた。大分動いて、体が温まった所で、又前のポイントに戻った。
 いつものポイントだが、もう少し風があると水面が波立って魚の警戒も緩むのだが、これは願っても致し方ない、それで、立ち膝の姿勢でキャスティングを開始する事にして、静かに浅い川辺に膝まずき、斜上流の向こう岸近くの流れにフライを投げた。
 ウエイトが有効に働いて、エッグフライが川底を転がすように流して呉れる。良い調子だ、そして、ここでだと思った所でインジケーターが沈んだ。
 固唾を飲んでこの機を待っていた私の反射神経が間髪を入れずに合わせを呉れた、ヒットだ、ゆっくりと、それでいて重厚な力がロッドを伝わって来る。でかいぞと心が躍った。いや、これは落着かねばならない焦るなと自分に注意を促した。
 それは今までに経験したこともない重い引きだった。ロッドの曲がりが限界なら、4Xのティペットも限界だ、いつまで堪えて呉れるのかが心配でもある。一方アメマスも慌ててはいない、悠然とそして時々私を川中に引きづり込むのだ。それに逆らうとラインブレークの危険があるから、ここはこちらがテンションを保ちつつラインを出すか、身を乗り出すかして対応しなければならない、こんな時には、途中何回も「どうしましょう」と誰かに助言を求めたい気持ちになるのです。
 N君はと上流を見るが彼はこちらを見てはいない、声を出しても聞こえない距離だが、気が付けば、飛んでくるだろうからと、待つ事にした。
 ロッドを片手で持ち、余分のラインをリールに巻取りドラグの助けでとも思うがまだ魚の引きが強く片手では支えられない、ですから、しっかりとロッドを両手でもって胸に押し付けてのやり取りが続きました。
 しかし、長い時間でしたが魚は持っているエネルギーを使い果たしたのか水面近くに浮上して来ました、2回も顔が見えました、でかい!さあ、これからが勝負だあくまで慎重にの一語に尽きる、うまくランディング出来るかアメマスの最後の跳ねで失敗した幾つかの無念の経験が頭をよぎる、今日はネットを使わない、水際が浅いから、運が悪いとネットインに失敗するのだ。
 あくまでも慎重に魚の動きを見てのやり取りをしながら魚の疲れるのを待つしかないのです。
 かくして、無事にアメマスは浅瀬に乗り上げるように引き上げられ横になってしまいました。「やったー」とメジャーで計ると、63cm、フライでの私の最高記録でした。N君はと振り向くと、気が付いたのか駆けて来て記念の写真を撮って祝福して呉れました。私もこれで年が越せます。今年もこれから何回かチャンスがあるでしょうが、体力、体調の関係もあり、無理は禁物、今年の私の釣りは今日で終了として、来春の釧路川に期待するつもりです。ちなみに今日のN君は入れ食いで最高だったと云うことです。
 では皆さんごきげんよう。次回は釣りの短歌を紹介致します。   

2004までの便り

2002までの便り