白鳥十郎長久 血染めの桜・首洗い石鉢

  


 その時、義光公は超き直り、「最初の対面を満足におもいます。それにつけても私が亡くなったら、きっと他国から侵略を受けるでしょう。そうなった場合は、万事その方を頼みにしています。また代々の系図も、修理太夫が成人するまでは、預け置きます」と言って、一巻の書を差し出しました。十郎殿は、それを受け取り、三度頂戴し、これで出羽の主はこの我であると、言葉には出さないが色に現れて見えました。