白鳥十郎長久 血染めの桜・首洗い石鉢

  


 十郎も、日ごろは用心深かったが、その有様を見て哀れをもよおし涙ぐんでいました。最上の家臣が「御寝所へお早く」と申しましたところ、義光公も言葉をかけて、「ここへここへ」と枕元近く寄らせました。十郎は「このような病気とは知りもせず、不本意にも遅参してしまいました。この上はどんな事でもお心やすく仰せつけて下さい」と謹んで申されました。