白鳥十郎長久 血染めの桜・首洗い石鉢

  


 そして十郎は、時日を移さず山形へやって来て様子を見ると、「屋形の御気色」(義光のご病気)が、殊のほか重いといって、家の子郎党残らず前後に並んでおりました。書院では成就院が護摩の壇をかざり、熱心にご祈祷をしておりました.御座所の次の間にはご一門の者が詰めておりました。そのほか、医師、陰陽師があまた出入りし、誠にご病気が重大のように見えました。