山形そば黄門漫遊記3(改)
山形のそば屋には、看板娘ならぬ看板婆様(この表現、行けば納得すること多し)がよくいます。大変働き者で感心します。
親父か息子がそばを打つ場合が多いのですが、自分が打つ人も結構います。何となくですが、北の方に行くとそばを打つ看板婆様が多いように感じます。
どっちが良いかというと何とも言えません。「はいこんにちは、また来たよ」なぁんて店に入ると、「いらしゃい、しばらぐだんねがぁ(しばらくですねぇ)」なんて反応がある方が愛想あって、私は好きですなぁ。
「ほれ、お歳暮だぁ」「ほれ、お年賀だぁ」なんて言ってお猪口に一杯持ってくる。車で行っているのだから良いか悪いかは別として、やっぱり良いもんだ。看板をみると明治時代からのそば屋、私を含めて先代のおやじの時からの人も結構多いようだ。
もう10年以上も前の話になるが、何となくそばの香りが落ちた時があった。たまに行く程度だから何も知らずに「このごろ親父の顔見えないが ・・・」と聞いたら「死んだのよぉ」と教えられた。「あぁそうか」と言うと、多分他の人にも言われたのだろうが、「わがっかぁ(わかるか)」、「違うがぁ」と不安そうに聞かれたことがあった。
ちょっとの間、やっぱしものたんない(物足りない)感じだったけど、訪ねる度に腕が上がって、2年も経つ頃には味も香りも結構拘った、うまい四代目のそばが出されるようになってました。昼時は混むのでわがまま言えないが、暇なとき、例えば冬の吹雪で客もいない日なんか、やわらかくしてくれとか、かためにしてくれとかわがまま言ってみるのも良い。そんな日は客も来ないだろうから、囲炉裏の側に座ってお喋りしてくるのも良いもんだ。そもそもそばはそんな田舎のごっつぉう(ご馳走)だったのだろう。
山形から348号線で白鷹方面へ、長めのトンネルを抜けたらまもなく左折して県道を南陽方面へ、10〜15分くらい進んで左側。看板は出てるけどうっかり見落とす人もいるので注意。分からなくなったら源蔵そばと聞けば多分わかると思う。
香りの強い歯ごたえのあるやつ、そば湯は他にないくらいトロッとして最高。年寄りなんかは、このそば湯だけで腹くっつぐなっど。(お腹いっぱいになるそうだと)