山形そば黄門漫遊記4(改)
いろいろと食べ歩きをやっておりますと、何となくですが、観光地の並びや国道沿いのいかにもいかにもといった風のそば屋、わざとらしくやたらと旗を並べ立てているところ等は、たいがい無条件で通り過ぎてしまいます。美味いはずがないという信念にも似たものがあるからかもしれません。
とはいっても、はずれても上等な山形のそば屋のこと、ふとした拍子に入ってしまうこともあるのです。まぁ大概は「やっぱりなぁ」と後悔して、店の名前も忘れ去ってしまうものなのです。頭のいい人は、決して初めての店には一人で入ったりしません。
そば好きに「うまいよ!」と言わせてから行くようです。この世の中、そんな意味ではうまくできているようで、「うまいよ!」と言いたくてとにかく入ってしまう人もいる。私なんかはその類なんだろう。一人で入って、わくわくしながら待って、一口食べて「ほぉ」とつぶやく。そば湯を飲んで”ニヤッ”と笑って、腹の中では「見ぃつけたぁ」その日から知ったか振って、鼻高々情報伝達が始まる。
FAXや電話で「××××そば屋、知ってるか?うまいぞぉ、行ってみな。粉は×××物で毎日挽くんだと、etc・・・」これが楽しい。
そして後日「行って来た、食ってきた、美味かった」なんて連絡が来ると大満足なのであります。山形から蔵王温泉に向かって進み、半郷から登りになります。まもなく赤い大鳥居がありますので、それを過ぎてまもなく左側。数年前までは画廊喫茶だったと思う。
東雲というそば屋。
思えば眺めが良さそうだったので、ラーメン食べに入ったのが最初だったと思う。そのころメニューには、二八とそばきり(100%そばっきり)と分けて書いてあったので、わざわざ分けて書くのだからとそばきりを食ってびっくり、とにかくうまかったという記憶がある。
しばらくの間、あまり客が来ないので仲間内では「なんで流行らねんだずね、ラーメンだってあだいんまいのに(あんなにおいしいのに)」とよく話題になっていました。
最近は大分お客が来るようになって、メニューも少し変わったり、1500円で食い放題なんてやっているようです。また、話題の冷やしラーメンなんかもありますので、女性や子供連れでも文句は出ないようです。
かためで黒っぽい生粉そば(きこそばと読むそうです。前はそばきりといいました)は香りが強く特上です。天気の良い日は山形市を見下ろしながらゆっくりいただくのがよいでしょう。やわらかなのがお好きな方には、二八の方をおすすめします。