山形そば黄門漫遊記5(改)
大分前の話になりますが、山形もようやく高速道路網に繋がり、仙台と1時間くらいで行き来が出来るようになりました。
さて、それまで皆さんは一般国道を往来していたわけで、当然笹谷のトンネルから山形市街までにある美味しいそば屋は大繁盛していたわけでありましたが、高速が開通したため、ICの場所もあるのでしょうがお客がガタ減りし、昼時行ってもすぐに食べられるようになってしまったのです。私にとっては眺めのいい場所に座れるし、うるさくないし、大変結構なことだったのですが、そば屋にとってはそうはいかず、「このとおりでねぇ」とこぼしていた時がありました。「なぁに時間の問題よ。所詮そば好きは戻ってくるから大丈夫」とは、確信を持った励ましでした。
残念ながら、ほどなく昼にゆっくり特等席でそばを食うなんて夢となってしまいました。大きなガラス窓?に向かって長机が並び、春は新緑、秋は紅葉を眺め、清流馬見ヶ崎川の支流を見下ろせば岩魚が見えたりすることもありました。
蝋燭庵(あかしあん)という名前の通り、ろうそくも作っているちょっと変わった面もある。ちょっとボソッとした感じの、「香り豊かで上品な田舎そば」と言っておこう。
また、この店はたれが面白い。湖や海の水のきれいさを示すとき、透明度という言葉を使うが、そばつゆの透明度では山形で一番だと思う。
透明できれいだとか何とか言っているのではない。ただ面白いと言っているだけなので何ら他意はない。味が薄いわけではないし、私なんかは好きな方である。
この店、そばの他に麦きりを出すが、これもまた美味い。そういえば両方にあわせたたれの味なのだろうか?まぁ、何れにしても食べてからゆっくりお考え下さい。
最初に書いた高速道路開通後の少し暇だったときに腕をパワーアップしたようで、一段と美味くなったような気がする。山形から286号線で笹谷トンネルに向かう途中、高速道路の高い橋桁と交差するあたりの少し先、カーブの左側。もし見落としても、もうちょっと先にもまずまずのそば屋があるので心配御無用。
そば屋の親父にしては、奇跡的に愛想のいい親父がいて、よくビニールホースを摘んで水撒きやっています。