山形そば黄門漫遊記8

 山形のそばは田舎そば、んでは田舎そばとはなんだということになる。

 東根の小田島伊勢そばというのがある。

 田舎そばすなわち山形の典型的なそばの一つだと思う。太くて堅くて形は不揃いでボロボロ、出て来るたれは、小さめのどんぶりにこぼれんばかりに、だぶだぶと出て来る。やぶだの、更科だの、何とかだのと訳の分からないおそばの通が見たら腰抜かしてしまうのではと思うくらいの体裁で、でもとにかくうまい。
 最近値上げされてしまったが、少し前までは半板が900円だった。普通板そばというと2枚分位の所が多い。初めて行ったとき、連れが大盛りを頼んだので、料金からみて3枚分位かなと思い、挑戦しようとした。
 ところがちょいと愛敬のある店のお兄さん「ほだな食わんないからやめどげ」とあっさりとのたまわる。まぁ逆らわずに、足りなかったら追加すればいいということで、2人で半板を1枚注文したのである。

 暫くして出てきた半板を見て2人で納得。それぞれ大盛りよりはるかに腹一杯食べて大満足なのである。まぁ2〜3人で行ってお試しなされ。

 さて、次の話はこの店のてんぷら
 はっきり言ってそんなにうまいもんじゃないし、何といっても硬い。米の粉でも入ってるのか、とにかく硬い。早く行けば揚げたてでやわいのが出ると誰かが言ったので、開店時間頃行ってみたが、やっぱり冷たくて硬い。あまりの硬さで上顎が切れたみたいになった事もあった。とんでもないてんぷらである。食わなければいいだろうに、とごもっともなご意見がある。確かにそうなのだが、そうはいかない。不思議と食べたくなる。しばらく行ってないと、「伊勢屋の石のてんぷら食だぐなっずねぇ(食べたくなる)」なんてことになる。
 そしてまたその硬いてんぷら食って文句を言い合う。

 狭い店だけでは足りなくなって、奥の部屋やら2階やら、家中が店になる。いろんな生活臭いものが見えて来る。そば屋に来たというより、誰か知り合いとか親戚の家でそばをご馳走になるという感じである。

 場所はうまく説明出来ないので、自分で努力しなさい。目印は東根の小田島小学校。それから、てんぷらは1個50円。

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