山形そば黄門漫遊記11
蕎麦は田舎のご馳走だと言ってきたが、田舎のご馳走ってそばだけなんだろうかと言われてしまいそうである。勿論、答はNO。どこの世界でご馳走ですよと言って、ご飯やパンだけ出す馬鹿がいるか。
田舎には田舎の心があるんだよ。
四季折々の色合いを添えて、味わいを添えて、これしかないんですよとの真心を添えて。(たいがいは漬け物だけだったりして・・・)
さて、そばを打つという言葉はよく聞くけれど、そばを突くとは知らなかった。丁寧にこねたそばを、多分ところてんを突くように突いたのだろう。まるでスパゲッテイの太い奴のようなそばが出てきた。
台の上にはおよそ10を越える山菜料理が並んでる。たらの芽、こしあぶら、しおで、みず、あいこ、うど、、、、、、、、山菜がいっぱい。
一緒に行った連中が、「おい、これで1500円はないだろう」少しして、最初の板が無くなる頃、「やっぱり追加しなくっちゃ、いくらかかるか聞いてこい」「1500円と言ったら1500円だよ」とは言ったけど、さすがのおいらも不安になって聞きに行く。やっぱり思った通り、そんな心配はいらない。出てきたおかわりの板を見て、「こだい(こんなに)食わんない」と音をあげ、「あぁ、のごしてもらていいがら(残してもらっていいですよ)」となだめられる。そばもうまいが、山菜がうまい。信じられないくらい安いと思う。得したと思った人間達の会話はそれなりにおもしろい。
多少料金を出すと、川魚なども出してくれるらしい。それはそれでいいのだが、無粋な都人の”にしんそば”じゃあるまいし、昼飯にそばと生くさを一緒に食う馬鹿は田舎にゃそうは居ないような気がする。なんたってそば好きの「堂々たる田舎もの」はそうあるべきと思う。村山市そば街道、やまばと民宿市十郎、素朴な自然の味わいが売りもの。
発行されている案内で見ると電話予約がいるようだが、ちょっとこれが難しい。なんせ日中かけると、婆さんが出てきて喋らせるだけ喋らせてから「おがぁさん居ないとわかんねぇ」とのたまわる。
行きたい人はおかあさんの居る夕方以降に電話しましょう。