山形そば黄門漫遊記14

 山形のいわゆる西山の麓は、伏流水が湧き出るところが多く、知る人ぞ知る名水があるところなのです。
 そういえば奥の作谷沢ではきれいな水を使って山葵が栽培されているそうで、町のそば屋が求めにいくそうだ。

 さて、今日はどこのそば屋へ行こうかのうなどと考えつつ寒河江からの帰り道、何気なく山辺に車を向けたのでした。そしていつもの通り少し国道からはいって左折をしようとしたとき、ビビッと感じる何かに惹かれ直進してしまったのです。その正体はなんとそば屋のチンケな看板でした。看板にしたがって西へ西へ、どこまで行ってもそば屋はない。そして不安になった頃、なんと山の麓の部落にやっとその店はありました。
 店に名は大円ですが大遠という感じですなぁ。

 曰く、注文うけてから打って切って茹でる。大したもんだよ全く、思いだけは。好きで始めてまだ日が浅いだけに、もうひとつというところがあるが、西山の水が自慢とはいつかはうけるキャッチフレーズ、がんばれおやじ!

「ところで、助さん格さん、この旦那どっかで見たことありませんかねぇ」
「ご隠居、実は私たちもそう話していたとこなんですよ」
「どっかの店でかなぁ、そば屋かなぁ・・・」
「おらぁ、何年か前まで駅前さいたんだっけよ、××××って店しったけがら」
「あぁ、んだっけがした」

 この答えは自分で聞きに行きなさい。
 水の秘所西山の麓、あとはうまくなるのを時々来て自分で確かめる。商売なんでラーメンをやらざるを得ないなんて、なんとド田舎!(本来田舎では中華の方が遙かに上のご馳走なのです。いかにそばなんて貧しいもんだったのか)最近、そば屋の親父で愛想のいいのに出会うことが多くなりました。
 とんでもないのも後で紹介しますが、人間っていいですなぁ。俗に色の白さは何とやらとかいいますが、楽しい人柄はそばの香りを増すようですなぁ。

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