山形そば黄門漫遊記16

 山形のそば文化、何でこんなに騒ぎ出したのだろうか。のんきにやってたはずだったのに、テレビに出、雑誌に出、たかが田舎のそば屋のおやじがどれもこれも名人とか何となく偉そうに見えてくるような気がするから不思議なもんだ。
 まあ悪いとは言わないけれど、なかには「食わしてやってんだ」みたいな感じがするところもでてくる。どことは言わないけれど「二度と食いに来てやんねぇぞ」と決めたところもいくつかある。そば屋と一緒で、客だって愛想悪くてなにが悪い、ねぇご隠居。

 てなことで、今日は一行ちょっと口直し、変わったところと噂のそば屋へ。先発隊の報告によればそばはまずまずだが汁は日光のちょっと手前、はるばる行くほどではないようなとこなんですが、ちょっと面白い。

 よくあるパターンの百姓屋、茶の間ぶち抜いた部屋でまずはそばを食う。普通は板そばというのだろうが、焼き物に乗せてきてそれで盤そばというのだそうだ。
 それにしてもゴチャゴチャわけの分からない物がある。昔のどっかの店の看板、仁丹の看板、茶碗、壺、人形、剥製風のトカゲの置物、なんかありそうな着物・・・・・はじめてまだ日も浅いようで、大して客も来ない。
 そば屋にしては珍しい話好きのおやじが、満を持して出てくる。「初めてだからわかんねぇだろう。その着物、鞍馬天狗で嵐勘十郎が着たやつだよ」から始まって止まらなくなる。話に乗るとめちゃくちゃ、本人は古物商の届け出をしているそうで、

 「あれはン千円、その壺は3万円、その茶碗はン万円」
 「向かいの沢は、イワナやヤマメの人気釣り場」
 「もすこし行くと、山菜がばんばんとれる」

 まず喋ること喋ること。そばの話をしないのが、謙虚というか、自分を良く知ってるというか、これでそばの腕が上がったら商売にならなくなるんじゃないかと他人事ながらおかしくなる。どっかと比べたらまったくとんでもない、後から来た客に申し訳ないなんて微塵もない、もっとも一緒に笑っておりました。

 本日、黄門様もおそば用人様もみんな笑い転げて大変満足でした。
 天童から、関山に向かって10〜15分、猪野沢そばという看板を右折、しばらく進むとわかります。また行きたくなる楽しいそば屋です。
 その昔、トリオスカイラインという漫談グループがありまして、児島三児?というアホがおりまして、どっか似ておるような気がしました。

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