山形そば黄門漫遊記27

 かつて平家の落人たちが、隠れ住んだといわれる山あいの部落というものは、さまざまな伝説とともに日本中に数多くありますが、小国町の山の中にもそんな部落があります。その伝説は、実際に行けばパンフレットに書かれてありますので省略しますが、まことに山の中を実感できるところであります。

 「おばちゃん、この先はなんにもないのがぁ?」と聞いたら「あぁ、何にもない、山だけだぁ」という返事でした。

 昔、そんな山あいの部落ではそばがよく作られたそうです。
 焼き畑で切り開いた所や痩せ地に、大した手間もかからず栽培できたからだそうです。そういえば最近、減反で何年もぶん投げて、田んぼに戻すのは大変だ等と言われている”もと田んぼ”にそばがびっしり作られている光景を目にします。
 雑草なんかよりも強いのかななんて思ったりするほどびっしりのびて、夏に白い花を咲かせています。

 ここでも付近の畑と、とにかく小国のそば粉を使うのだそうです。黒くて固めのちょっとボソッとしたそばが出てきます。
 余所より短めに切ってあるので箸でつかみやすいと思います
が、これは好き好きですので何ともいえません。

 国道113号線を西に進み、小国の町を過ぎるあたり。役場の方へ折れて、金目(カナメと読みます、キンメでないしカネメのものは熊の皮ぐらいしかありませんでした)の部落に向かいます。暫く行くとポツリポツリと方向板等が目につきますが、結構不安になります。そんな時、案内板が左側にありまして「これでよかったんだなぁ」と安心します。さらに進みますが、やっぱり不安になります。道が狭くなってきます。
 案内通りに来たつもりなんですが、「もしかしたら、あっちだったかな」と思ったりするようになります。一緒に行った人が「道が無くなるんじゃない?」とか「引き返した方が?」なんて余計なことを言い始めます。確かに天気が悪い日なんかだったら、そうしたくなるくらい道が狭くなります。すれ違いが無理になってきます・・・・。

 ・・・・しかし、やがて正に砂漠の”オアシス”の如くあの旗が目に入ってきます。そこから先は不安にならない間隔で旗が導いてくれます。そしてちょっと前方が開けたときそこに金目そばの館があるのです。

 とびきり冷えたビールを、そばを固めに油で揚げた例のつまみでキュットなんてもんじゃなくギュッといくと、「うまいんだなぁこれが」
 この手のそばやの情報は教えてあげないのだけれど、あんまりあんまりなので、教えてあげます。定休日は原則として水曜日。一応電話してみたら?行ってからハズレだと可哀想だから。

0238−62−2800

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