山形そば黄門漫遊記30
天童という町はそば好きにとって案外いい町なんです。なにせいろんな意味でいろんなそばに出会えるからなのです。
例えばちょっと洒落た町中のそば屋から、スタンダードな田舎百姓屋型そば屋、黒々としたそばから真っ白なそば、太いそば細いそば、一件として同じようなそばを出すところはない。(知らないだけかも知れない)天童の町中を南北に走る旧13号線、駅を過ぎて北へ進んで右側にやま竹というそば屋がある。
何となく由緒ありそうな構え。この家、前はなんだったのだろうかとふと思う。そんなには広くない板の間に机が並ぶ。メニューにはうどんもあるがやっぱりそばがいい。若い店長さん(たしか店の人がこう言った)が力を込めてそばを打つ。でてくるそばは細目、でもかなりの歯ごたえがある。このくらいだと、少しずつつまんでたれをちょいとだけ付けて、どこぞの通を気取ってみても良いかも知れない。
土日や休日なら1時過ぎ頃が狙い目。なんせ打った分が無くなって、それでもお客が来るのでまた打ち始める。「おうどんならすぐに出せますが、おそばは無くなってしまい、今打ってますので少々時間がかかりますけどよろしいでしょうか?」
なんて聞かれたら最高!たかがそば、待ったところで30分くらい。それで打ち立てにあずかれるのならなんちゅうことはない。
宣伝物によれば、会津産と北海道産のそばを石臼で自家製粉し、つなぎ一割の九一そばなのだそうです。
山形では以外とこの成分率に拘りが多いようです。100%や10割の表示から50%や五割まで、もっともポピュラーな二八、一般に二八というとつなぎが二割ということで、これを”内二”というのだそうです。
これに対して”外二”という配合もあるようで、これだと10に対して2となるので実際にはつなぎが二割まではいかないことになるようです。まぁ、それぞれの配合率があるようです。
食べるだけの人は余計なことを考えず「ほぉー」「へぇー」と感心した振りして、美味かったらまた来れば良いのです。たかがそばを食うだけのことですから自分に正直が一番いいのです。蛇足ですが、この町は鴨が名物というほどでもないのですが、ラーメンにも入れるくらいポピュラーで、そばにも鴨がよく使われます。美味しいかどうかは知りませんが、ご案内しておきます。
ちなみに私は鳥は大嫌いですので決して食べません。