山形そば黄門漫遊記33

 そばの見かけの話、山形も北の方へ行くと、艶がよく透けるような感じさえしてしまうそばによく出会う。粉のせいなのか、水なのか、はたまた打ち方なのかよく分からない。ある人なんか”見かけはこんにゃくのようだ”なんて言っていた。いくら何んでもちとオーバーな表現ではあるが、硬く黒っぽいこんにゃくがそばのように切りそろえられて、冷たい水でしっかりしまっていれば、そんな風に見えるかなとういう気もしないではない。

 新庄市のど真ん中で、田舎そばを出す店があると聞いてチャンスをうかがっていたが、たまたま仕事で行く機会があり、お昼を待ってのこのこ出かけたのであります。
 「お堀の近くの文化センターの向かいあたりで、いせきという名のそば屋」これだけの情報で、なんとズーズーしく一行を引き連れて、知った振りして行ってみたのです。
 ありました、ありました。探し回ること10数分、文化センターの向かいにそば屋がありました。
 このそば屋、聞いてはいたのですが前の方は喫茶店になっています。一人で来て、カウンターに座って、「そば大盛り一枚」なんて姿想像できますか?いいんですよ、たかがそば、立ち食いなんて行儀の悪い食べ方がポピュラーな食べ物なんですから。

 さて、一行は正規のそば屋の入り口から入って、スタンダードな店に座る。注文して待つことしばし、でてきたそばは、あの”北郡風の透明感あるそば”やや白っぽいそばの中に、黒いそばの皮がまるで浮いているようなそんなそばでした。

 このそば屋何時からそば屋なんだろう?
 なんで表が喫茶なんだろう?
 この建物、そば屋の前は何だったんだろう?
 あの親父、そば屋してもうかってんだろうか?
 この人奥さんみたいなんだけどそうなんだろうか?
 なんでこんな町中にこんなそば屋があるんだろうか?

次々と疑問が出てきます。聞けばいいのだろうけれど、聞きたくない雰囲気があります。そばが美味けりゃ良いじゃないのという雰囲気があるんです。

 「へぇー、あるんですねぇ、山形って、町でも山でも何処にでも。ここもすごく美味しいですねぇ。こういう感じのそばってすごくいいなぁって思うんですよ。そうすると、ドコソコなんかではそばを食う気がしなくなっちゃうんですよねぇ、いいですねぇ」なぁーんて言われると、そばよりも満足しちゃってうれしくなっちゃうんですよ。
 とは言っても、大盛りで足んないくらいしっかり食べて、そば湯しっかり飲んで、さてそれでは参りましょうか。

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