山形そば黄門漫遊記35

 何にでもそうですが歴史があります。人の歴史にはその人のある日が受け継がれ”懐かしさ”という歴史になるのかも知れません。「長井さ来っど(来ると)かく長さ来てそばあがるんだっけ(いただくのでした)」なんていうのもその一つなのでしょう。

 この当たりではちょいと珍しい太めの田舎そばです。
 艶っぽくて、歯ごたえ十分で、たれは鰹節の味がかなりでてます。

 そばが今みたいにもてはやされる前からやってる、言い替えれば昔からそばに拘りを持っていたのでしょう。古さから言ってもこの辺では右に出るものが無いのでしょうから(知らないだけであるかも知れませんが)、長井はこんなそばが普通なのかも知れません。
 とは言ってもこちらも今は二代目(何代目かは知りません)、私自身先代のは覚えてないので比べようもありません。

 初めに書いたセリフは勿論先代の時の話。その方が仮に今も生きていたとして、今もそうなさるのかは確かめようもないことなのです。ただそのそば屋の名がでると、そう言って死んだ旦那の話をするおばあちゃんがいることは事実です。

 かくもそばとはいいものなのでありまして(別にそばに限った話ではないのですが)、などと言いながら、一緒に行った人達にそんな話をして、あたかも先代のころから来ていたように思わせて、「どうだ、うまいだろ」なんて言いつつそばを食うのもまた一つの楽しみ方。
 前にも書きましたが、太めの田舎そばで歯ごたえが強く食べがいがあります。
 ざるでも皿でも板でもない、どっちかというと鉢?みたいな瀬戸物に盛りつけて出してきます。たれはたっぷりくれますので、十分つけていただくのが良いみたいです。

 難を言えば、弾力が強い為に、ズルッと行く時にたれが弾かれて、ワイシャツなどに着いてしまうことぐらいでしょう。

 長井市のメインストリート、南から入ってきて駅前通りとの交差点を過ぎてさらにまっすぐ、あやめ公園や萩苑の方に向かって行きます。とは言ってもそんなところまでは行くわけがないのでありまして、2〜3分も行った左側に青いそばやの幕(?)を張ってありますので多分わかるでしょう、わかんなかったらいつものことですが勝手にして下さい。
 ただ言っておきますが、長井の市街地に入るんですよ、バイパスをまっすぐ行って文句言ってきた人がいましたが、「人の話はちゃんと聞きなさい」よ。

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