山形そば黄門漫遊記49
「さて、そば屋では何が一番贅沢と思いますかのぅ」
「そりゃ御隠居、何たって最高のネタの天ぷらと思いますよ、ねぇ助さん」
「いや、それだったら最初っから天ぷら屋に行った方が良いと言うことになりかねないので、私はお酒とそれに雰囲気かなぁ、、、それからきれいな看板娘がいるとか」
「まったく、助さんはいつも話がそこに行く。毎度のこととはいえ困ったもんだ」
「そういう格さんはどうなんです」
「なんと言ってもそば屋ですから、やはりそば三昧でしょうねぇ、どうせなら三枚重ねでそれぞれ味が違うとか、おまけのそばがき付きとか、、、あとはそば湯でしょうかねぇ、目一杯だしの香りがするような」
「一品で三種類のそばといえば、たしかあららぎがそんなそばを出してましたなぁ」
「そうでしたそうでした、初めて行ったときいつもの調子で”板そば”なんて注文して待っていたら、後から来た常連さんらしい人達は誰も板なんて注文せずに、100の大盛りとか言って注文してるんで何となく不思議に思っていたら、なんと一枚に三種類のそばがのってきたんでしたねぇ」
「私たちは100%の板のつもりでいたのに、100%と二八と更科が黒、灰、白の三色に分けて盛られて出てきて、ちょっと驚きましたなぁ」
「でも最初にあれを食べてしまうと、次からは一番気に入ったのを注文できるんでしょ うから、まぁいずれにしても考えてみればちょっと贅沢な気がしますねぇ」
「でもあっしなんかは、あればっかりになりましたよ。迷っちゃってダメで、結局全部食べたくなるんでそうなってしまうんですよ、だってせっかく全部いただけるのに勿体ないじゃないですか」
「はっはっはっ、結局食べ物は八兵衛が一番贅沢なようですなぁ」
「御隠居、八の場合は贅沢じゃなくってただの我が儘って言うんですよ、食い意地張った子供みたいなもんですよ」
「何とでも言って下さいよ、美味しいものがいただければそれで良いんですから」
国道13号線を南に下って上山を過ぎて間もなく、新しいバイパスと合流してすぐの左側、わりと目立つ看板があるので分かると思います。