山形そば黄門漫遊記58

 長い短いで短い方の話をしましたので、今度は長い方の話をしてみます。店の名前を聞いて「あぁ、いいはぁ、あそごは(あそこの話なら結構です)」と言う人が結構います。まぁ無理はないと思います、まして去年値上げもしましたし。

 まるごというそば屋があります。山形市内だけでも3店あります。それぞれどんな関係かは知りませんが、出す物からして親戚とか、とにかくお仲間なんでしょう。

 「もり天」と称して、げその天ぷらそばの草分けではないでしょうか。山形大学の本部前の店は教官も学生も何度かは行ってるはずです。市役所の裏は、市職員とか地元新聞の社員達が何度かは行ったはずです。そして問題は第三の荒楯町の店です。場所は比較的簡単で、東南村山合同庁舎の向かい側あたりで、日大山形の裏門あたり、人によってはパレス平安の裏の方と言っています。お昼の一時しかしませんので、何時でもいいという訳にはいきません。それだけに昼は見ものです。
 席について名物のもり天(げそ天そば)を頼むものなら、まぁ30秒ででてきます。これまでの記録ですが、座る前に「大もり天」と注文してから席についたら、10秒くらいで出されてしまいました。よく見ると、店に入るとおやじがすでに茹でてあるそばに手をかけ、注文と同時にざるに盛ってしまい、あらかじめセットしてあるお盆にのせる。あとはおばさんがサッと運んでくるという仕掛けになっています。早いのなんのって、ハハハもんですよ、ホントに。
 店に入って、大盛り食って、そば湯飲んで勘定して、出てくるまで4分ということもありました。

 はっきり言って美味いとは言えないかなぁ〜でありますが、そのみっともないくらいの長さが恋しくなるんです。その信じられない早さが恋しくなるのです。元祖もり天、なんだかんだ言って、そうですねぇ一年に10回は食べますかなぁ。こんなの(失礼失礼)食ってるようじゃ、そば通にはなれないなぁと思うのですが、それでも良いから食べたくなるそばなのです。あなたも昼の混雑の中の味、知ってみるといいですよ。パートのおばさん?達に負けないくらい活きのいい卵付きです。お客さんは正直なものです。

 ところで最近、その早さに意地悪したくなってこんな事をやります。店に入って、おやじがそばに手をかけるのを見ない振りして、それでいてしっかり確かめてから、スッと座って「ラーメン」を注文します。読みがはずれたおやじの「チェッ」という舌打ちが聞こえてくるようで、「ざまみろ、思いどうりになんか食ってやんねぇぞ」と呟きます。とにかく面白いから、あなたもぜひぜひやってごらんなさい。
 ラーメンだってじゅーぶん美味しいやつを出すんですよ、そばと違って予め煮てた麺ではないですし。

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