山形そば黄門漫遊記62
「ねぇご隠居、類は友を呼ぶって言いますけど、ホントにそんなもんなんですねぇ」
「何ですか八兵衛、またなんか見つけましたか」
「いや、実はねぇ、白鷹のはずれというか長井のはずれというか、まぁそんなところにまたまたそば屋が出来ましてねぇ、それがなんでも元は天童の酒屋だったそうで、それはそれで何かわけがあったんだろうけど、ここで何か商売することになって見に来たらそば屋しかないだろうということになって、さんごというそば屋が出来たってわけなんです。ところがその敷地の広いこと広いこと、そば屋の分だけで1900坪あるんだそうで、ちょっと驚いちゃったんですよ。」
「ほほぉー、でもそれはちょっと広すぎませんか。でも本当だとするとなんかがありそうですねぇ」
「言われるまでもなく、あっしもいろいろ聞いてみましたが、なんでも前はその辺の大地主様のお屋敷だったそうなんですが、まぁいいじゃないですか、てなことになってしまって、詳しくは分かんなかったんですよ。」
「それで、肝心のそばはどうだったんですか」
「それがね、なんとおやじがまだ打てなくって、それで困ったらしいんですが、なんと地元で名人?を探し当てたそうで、習いながら時間をかけてやってくようですよ」
「私はそばはどうでしたかと聞いているんですよ」
「そりゃぁ結構でしたよ、何たって名人というくらいですから、ただおやじが問題なんですよ。いかにもそばを打ちそうな顔して、愛想はいいんですが、大盛りと言ったのに結局普通が出ちゃったりして、そば屋になってないんですよ」
「それはそうと、近頃この辺りは他にもそば屋ができたようですねぇ」
「そうなんですよ、川の向こうとか、第三セクターの保養施設でも限定ではじめたようなんですよ。いずれも一回は行ってみようと思っているんですが、どうしてこんな狭い地域に次々とそば屋が出来るんでしょうねぇ」
「そば屋が増えるのは結構なんですが、ハズレが多くなってきているのには困ったもんです。まさか、開設基準なんてつけられるわけないですし、、、」
「そうなんですよ、経験?練習?不足の見切り発車が結構あるようで、がっかりして二度と行くもんかなんて思ってしまうところがあるんですよねぇ、とくにこの頃。」
「そんな意味ではここは名人が居るわけだから大丈夫と言うわけでしょうかねぇ、まぁ、とにかく一度行ってみましょうか」