山形そば黄門漫遊記72
「さて、せっかくのお休みですし、天気も良いことだし、どこかそばでも戴きにまいりましょうか」
「ご隠居、お止しなさいよこんな連休の時なんか。どうせ混んじゃってろくな目に遭いませんよ。忘れたんですか?何時だったか、目茶混みでさんざん待たされて、あげくは順番間違えられるし、大盛りと言ったのに普通盛りが出てきたし、混雑見越したアルバイトがうろちょろしてるもんだから、まず気の利かないこと。片付けは遅いしそば湯は出ないし、ひどい目にあったじゃないですか。おまけに駐車場に後から来たやつが下手な止め方するもんだから、一苦労。もう思い出しただけで疲れてしまいますよ、まったく」
「お黙りなさい、行くと言ったら行くんですから、サッサと車の準備をしなさい」
「まったく、言い出したら聞かないんだから、このごろ頓にがんこになっちゃって」
「なんですか何か言いましたか」
「いいえなんにも、こいつはうっかりだ」てな訳でやって来ましたのが、西寒河江の名刹慈恩寺チョット手前の慈恩寺そば。今のように山形のそばが全国区になる前からズゥーとやってましたので、この手のそば屋では草分け的存在であります。
慈恩寺参りや観光客がお客さんだったのでしょうが、精進しましたので今ではこのそばを目的に来る人も大勢居ます。数年前に月山へ向かう新しい国道(バイパス)が出来ましたので、旧国道沿いのこの店は目立たなくってどんなもんだろうと思ってましたが、心配ご無用だったようです。黒くてやや太めの田舎そばは、歯ごたえも良く結構満足感を与えてくれます。そばは苦手と言う向きには、なんとなくツルツル・・フカフカ・・シコシコ(食べてみれば分かります)としたうどんもありますので、もりでいただきましょう。
平日あまり混まない時間に、暇を見つけておやじに話しかけてみます。生来の話好き(勝手にそう思ってます)で物知りですので、いろんなことを話してくれます。これが”うるさい”という向きも以前おりましたが、年々その声は小さくなってきたようです。
帰りがけ出口で山菜を売ってました。たらの萌え、こしあぶら、しどけ・・・・。もらった名刺を見ると【その旬だけの天然物を扱います】と書いてありました。まけてくれたので名前を教えてあげます。『喜びの里幸生(さちう)旬倶楽部』というのだそうです。興味のある方はそば屋のおやじにでも聞いて下さい。
国道112号線、寒河江チェリーランドの少し先で、旧道と合流しますので少し戻ることになります。合流点に看板もありますので分かるでしょう。