山形そば黄門漫遊記71

 山形もご多分にもれず市の中心部の空洞化が進み、いわゆるドーナツ化現象が起きています。郊外に大型店が建ち、休日ともなればその大駐車場は満杯になり店内は結構賑やかになるのですが、せっかく整備した周りの歩道は歩く人影もまばらという何とも表現に苦しむ光景が見られます。町中からその郊外店に通じる道路は昼頃から渋滞になり、イライラが町中に充満しています。
 そんな道路の一つに旧13号線があります。前に書いた羽前屋の前を通ってさらに北進して行くと、やがて旧13号線に出ます。さらにまっすぐ北進すると、すぐに寿ゞき総本店という看板が目に付きます。この”SUZUKI”なんですが、山形にはこのほか「鈴木」と「寿ゞ喜」、そして「寿々喜」、もちろん「すずき」等というそば屋がありまして(ホントはもっとあるかも知れません)、本店だの支店、分店まで考えると訳が分からなくなってしまいます。一族だの親戚だのというのもあるようですが、関係ないのもありまして、まぁあまり気にしないで何処の『SUZUKI』だけを覚えることにいたしましょう。

 看板は”そうざそば”とありますが、何の事かは分かりません。店で配っているその由来を見れば、まぁそばの美味さとはぜんぜん関係のない話でチョットがっかりしました。所詮西洋人に言わせればアダムとイブ、競馬の馬で言うなら三頭の馬みたいな、なんて言うのか本当らしい本当はウソでも本当だから馬鹿くさいことなのですけど、ウソかホントか誰も分からないとう情け無さ。まぁ良いでしょう。

 ところで、ここのそば屋の「そば」は、何と御所山の”冷たい爽やかな高原で育てたそばを静かな谷間の水車で丁寧に粉にし、これを当家に伝えられる秘法によって作ったもの”なのだそうです。
 この御所山は別名船形山という船をひっくり返した形の山なんですが、その昔順徳天皇が隠れ住んだという伝説の山で、天狗が居るとかなんとかとにかく大変な山なのです。今度登ってきましょう。

 どうでも良いことを書いてしまいましたが、肝心のそばに戻りますと、色艶がどこか少し爽やかに感じられます。そば屋に言わせれば”深山に育った「そば」だけのもの”ということになっておりますが、そうだとすればそう思わせるそばを打つおやじは、はたして天狗様の親戚なのでしょうか。板そばを2人分くらいの盛りにして一緒でいいよと言うと、大きな桶みたいなものに盛ってきます。体裁というのがあるのでしょうが、良いか悪いかはお金を払う人が決めるべきことかと存じます。
 町中のそば屋だけにメニューは豊富ですので、お好みに合わせて下さい。

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