山形そば黄門漫遊記74
梅雨の合間の一日、黄門様ご一行は福島県の山都町宮古地区へ探訪の旅に出ました。以前から一度行ってみたいという希望もあり、例によって酒浸りの研修会であります。
その日お世話になったかわまえの旦那の話ですと、十年くらい前から村おこしで始めた事業が成功しているのだそうですが、もともと何処の家でもそばを打てる人が必ずいると言って過言ではなかった地区なんだそうです。
水は美味いし、空気は良いし、近隣はそばの栽培が結構盛んに行われているようです。たまたま道にいた近くの人は「あとは何も無かった」と話してくれました。山形で言うと彼の次年子みたいな山奥ですが、村おこしでやったというだけに、部落中が全部そば屋といった感じです。
100%のそばしかないのだそうですが、食べてみて二八と思ったくらいのやわらかさがあり、ちょっと驚きでした。「粉が引き立てで新鮮だからでしょう」とのことでした。
”みずそば”といって、水だけで食べる食べ方がありますが、二八でやってみて比べてみると、『香り』と『甘さ』がまったく違うので分かってもらえるそうです。事前の情報では『要予約』の店が多かったのですが、実際は『予約なしでもお入り下さい』でした。ただし、大勢で行く時は予約した方が良いようです。というのは山形と違って、そばは料理の一つであってそばではないのです。
どう言えばいいのか分かりませんが、2,500円のコースでも席に着くと山の料理が6〜7種類並んでいて、そのほかこんにゃくの刺身と漬け物が出されて来ます。その一つ一つの美味しいおかずを食べながら酒を飲んでいると、さらに天ぷら等2〜3種類の料理が運ばれてきます。
「おーい、そばはまだかぁー」の声がそっちこっちから出て、「そばが食えなくなるぞぉー」と嘆きが出た頃、お椀に盛り分けたそばが出てきます。もはや、食べ放題と言ってもそんなに入るわけがないのです。文化の違いというか、考え方の違いというか。そばだけ食わせるそば屋というよりは立派な料理として、また一つの村おこしの成果として存在しているようです。山形のそば屋にもこんなことをやっているところがありますが、とても料理としてはレベルが違います。
観光資源として開発され育成されている宮古のそば会席と、一軒づつ点在していてそれぞれ勝手に頑張って適当に人気を得て観光資源にまつりあげられた山形のそば、どっちが良いかは別として、まったくいろいろあるもんです。事前の話で、会津のそばは米沢のと共通点があるということでした。米沢は会津から殿様がやって来たこともあり、民間人の交流も多く食文化も似ているところが多いのだそうです。そばもタレもほとんど違和感のない美味しい味でしたし、山の空気も飯豊の水もVerry Good!でありました。