白鳥十郎長久 血染めの桜・首洗い石鉢

  


 同国村山都谷地と申す郷に、白鳥十郎光清とて、弓矢とつての達人あり。然るに光清、元来 放蕩無類にして、おのれが武勇に高慢し、領分の民をしゐたげ、他のなげきをかヘリみず。類は 友を集むるならひなれば、附きしたがふ郎等に、荒木隼人之助、岩波平栽、獅子ヶ洞大蔵坊、斉隠霜太郎などとて、勇力無双の悪従ども、白鳥十郎の四天王として威を近所に振ひける。