山形そば黄門漫遊記77

 山形のそば、とくに今のブームの走りの頃は店も少なく、情報は無く、ホントに噂を頼りに出かけるのが普通でした。
 前に言ったかもしれませんが、初めて源蔵そばへ行ったのは、原口そばへ出かけたらたまたま休みだったので、しょうが無いから噂に聞いた源蔵にでも行ってみるかということだったのでした。学研のオバチャンではないけれど、マダカナマダカナと小滝街道を南下し、不安になって途中の農協なんかで聞きながらでした。

 それよりもさらに前の話になりますが、今は亡き大殿とやはり原口そばへ行った時もやはり定休日で、それならばとそばにあった看板を頼りに行ったのが『ニッポン国古屋敷村』でありました。チョイト前にここで映画撮影があり、その後地元の旅館が買ったとか聞き及んでおります。でもどうでもいいことなのでホントかウソか知りません。蔵王の山麓で、山も川も美しくそれはそれは素敵な所でした。
 当時そこの店では茶そばを出していたように記憶しています。ただし不味かったので、それよりも囲炉裏で焼いていた山女だったか岩魚だったかそっちの方を食べたことが記憶に残っています。

 あれから十数年、昭和から平成に変わり、もうすぐ2000年になるという晩秋のある日、お天気に誘われて里の秋の真ん中を出かけてみたわけです。というのも、最近なぜか宣伝看板や地元雑誌の宣伝なんかに”そば、そば”と宣伝をしているからです。昔を知っていますので、馬鹿にしていましたが、まぁしばらくぶりということもありましたので、騙されたつもりで行ってみました。

 紅葉の真ん中、透明な川、やわらかな滝の音、静かな廃村(ホントは廃村ではありません)の佇まい。懐かしいような思いが甦ってきます。
 そばを頼むと、天ぷらなんかが付いたざるそばが出てきました(ザルには乗っていませんでしたがメニューではそうなってました)。昔と違って普通のそばでしたし、今はここで毎日打っているようです。平日のやや早めの時間でしたので、他にお客さんもなく、ゆっくりと時間を掛けていただくことが出来ました。たぶん二八?のどちらかというと町中のそば。そういえばオーナーが前にも書きましたが温泉旅館のせいでしょうか、季節がちょうど新そばの秋ですので香りも十分で、「これなら他人様を連れてこられるな」と内心思いました。一緒に行った親分が「まぁまぁだどれ」と合格点をつけてくれました。
 ただ、大変残念なんですが、小鉢にも天ぷらにもキノコがありました。その分がなんとも無駄なのです、悔しいのです。何にしてもキノコはいけません。誰が何と言おうがあんなもの臭いだけで美味しいはずがないのです、キノコはいけません、見かけも香りも破壊するだけでなんにもいいことありません、私は決して食べません。

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